接戦予想の米大統領選、石破首相は新政権と早期の信頼構築模索か
(ブルームバーグ): 接戦が予想される米大統領選。結果にかかわらず石破茂首相は同盟基軸の外交を展開すべく、次期大統領と早期の信頼関係構築を模索していくことになりそうだ。
石破首相は10月1日の就任会見で、「日米同盟を基軸に、友好国・同志国の輪を広げ、外交力・防衛力の両輪で、わが国の平和、地域の安定を実現する」との方針を示した。米大統領選について「私どもがとやかく申し上げるべきものではない」としながら、どちらの候補が勝利しても「お話ができる状況を作らねばならない」と述べた。
衆院選で自民、公明の与党が過半数割れしたものの、11日召集される特別国会の首相指名選挙では、野党がまとまった対応を取れずに石破首相が再選される可能性が高い。ただ、法案や予算の成立に一部野党の賛成が必要で綱渡りの国会運営を強いられる。北朝鮮がミサイル発射を繰り返すなど安全保障環境が不透明感を増す中、政権基盤の弱い首相が新しい大統領と向き合うことになる。
2016年の大統領選では、当時の安倍晋三首相が当選直後のトランプ氏と異例の会談を行い、個人的な信頼関係を築いた。新型コロナウイルス禍の20年にバイデン氏が当選した際は菅義偉首相が電話会談し、同盟強化について意見交換している。いずれも大統領選が行われた11月中に実現した。石破首相も11月後半に訪米し、次期大統領との会談を検討していると毎日新聞が1日報じているが、実現できるかどうかは不透明だ。
石破首相は特別国会で再度、首相に指名されれば中旬に相次いで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)、20カ国・地域(G20)の首脳会議に出席する見通しだ。NHKによると、バイデン大統領との首脳会談も調整しているという。
石破首相は、自民党総裁選挙中に日米地位協定の改定やアジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設を主張したが、実現の見通しは立っていない。所信表明演説では日米同盟の「抑止力・対処力を一層強化」するとしたが、持論は封印している。