「賃上げ、投資促進、子育て支援強化に全力」岸田首相会見1月4日(全文1)
岸田文雄首相は4日、伊勢神宮参拝後に年頭記者会見を行った。 ◇ ◇ 【動画】岸田首相「先送りできない課題に愚直に挑戦」 伊勢神宮参拝後に年頭会見(2023年1月4日)
新たな挑戦をする1年に
司会:ただ今より、令和5年、年頭に当たりましての岸田内閣総理大臣の記者会見を行います。初めに岸田総理から発言がございます。記者の皆さまからのご質問は、そのあとにお受けいたします。それでは総理、よろしくお願いいたします。 岸田:皆さん、明けましておめでとうございます。冒頭、この年末年始、大雪と災害に見舞われた皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。引き続き各自治体と連携しつつ、国としても万全の対策を取ってまいります。 先ほど私は伊勢神宮に参拝し、国民の皆さんにとって今年が素晴らしい1年になるよう、また日本、そして世界の平和と繁栄をお祈りしてまいりました。今年の干支は癸卯です。癸卯の癸は十干の最後に当たり、1つの物事が収まり次の物事へ移行する段階を、そして卯は茂るを意味し、繁殖する、増えることを示すといわれています。この両方を備えた癸卯は、去年までのさまざまなことに区切りが付き、次の繁栄や成長につながっていくという意味があるといいます。私は本年を、昨年のさまざまな出来事に思いをはせながらも、新たな挑戦をする1年にしたいと思います。
グローバル化の第2段階に入った
今、世界そして日本は、経済についても国際秩序についても歴史の分岐点を迎えています。政権をお預かりして1年3か月、この時代の大きな転換期にあって、未来の世代に対し、これ以上先送りできない課題に正面から愚直に挑戦し、1つ1つ答えを出していく、それが岸田政権の歴史的役割であると覚悟し、政権運営に臨んでまいりました。 この覚悟の下で取り組んだのが、国際社会が分断し、急速に安全保障環境が厳しさを増す中で、国民の命や暮らしを守るために待ったなしの課題である防衛力の抜本的強化、エネルギーの安定供給のためにも多様なエネルギー源を確保するためのエネルギー政策の転換とGXの実行、さらには日本における第2の創業期を実現するための「スタートアップ育成5か年計画」、資産所得倍増に向け、長年の課題であったNISAの恒久化など、先送りの許されない課題でした。昨年に引き続き、本年も覚悟を持って先送りできない問題への挑戦を続けてまいります。特に2つの課題。第1に、日本経済の長年の課題に終止符を打ち、新しい好循環の基盤を起動する。第2に、異次元の少子化対策に挑戦する。そんな年にしたいと考えています。 この30年、世界ではグローバル化の進展とともに、マーケットも、生産・製造も、物流も、一体化が進んできました。そしてわれわれは世界の一体化とともに垣根が取り払われ平和と繁栄を手にできると信じてきました。しかし現実には格差の拡大、地球環境問題などの課題の深刻化に直面をしています。また権威主義、国家資本主義的な国々と、自由主義、資本主義を掲げるわれわれ民主主義国家との対立を深刻化させています。 われわれは協力と対立、協調と分断が複雑に絡み合うグローバル化の第2段階に入ったと認識しなければなりません。グローバル化を利用し、コストの安い国に工場を移すことが効率的だ、グローバル化で拡大するマーケットを、低価格の商品、サービスで確保することが先決だ、企業の利益を上げるため賃金や研究開発、設備投資等もできるだけ抑えよう、こうした考え方を私たちは、いわば常識として信じてきました。しかしグローバル化の第2弾とも言える国際社会の現実を前に、われわれはまさにこの常識への挑戦を求められています。