急な片頭痛は前日の活力が低いと朝に、高いと午後にやってくる、意外な関連が明らかに
片頭痛の起こりやすさに関わる要素はほかにも、予防に役立つ可能性、最新研究
ソフトウェアエンジニアのカティヤヤニ・バジパイさんは、人生の重要なイベントのたびに(自分の結婚式の日にも)、激しい片頭痛に襲われてきた。ひどいときには独りで自宅にこもり、暗い部屋のベッドでひたすら丸くなっていたいと思うほどだ。「頭痛は何の前触れもなく襲ってきます。頭痛が来るのが前もってわかっていれば、少なくとも心の準備はできるのに」とバジパイさんは言う。 ギャラリー:炎症を抑える食べ物とは、病気の進行やがんの治療にも影響 写真6点 だがこのほど、睡眠と行動、感情の状態を記録するスマートフォンのダイアリー(日記)アプリが、頭痛の予測に役立つ場合があることを、2024年1月24日付けで学術誌「Neurology」に発表された新しい研究が示した。さらに、頭痛を予防するためのツールの開発にも役立つ可能性がある。 「頭痛を感じる前から、すでにその人の体と脳では変化が起きていることを今回の発見は示唆しています」と、米国立衛生研究所(NIH)のモニカ・ベルタニョッリ所長はNIHのブログに書いている。
悩ましい片頭痛
片頭痛は普通のひどい頭痛よりもはるかにタチが悪いものだ。 世界中の14~15%が片頭痛に悩まされていると推定されている。患者は女性が男性の3倍にのぼり、富裕層よりも貧困層に多いという研究もあるので、この推定は過小評価である可能性が高い。そして、片頭痛の治療は、特に発作が始まってからではそれほど効果的ではない。 ほとんどの患者は、頭の片側が頻繁にズキズキ痛む。片頭痛は一日中いつでも起こりうるが、起き抜けに起こることが多い。月経前や、仕事上のストレスが多かった週の後、睡眠習慣が乱れる週末など、片頭痛が起きそうだと予測できる人もいれば、明らかな前触れもなく痛みに襲われる人もいる。 片頭痛は、脳の表面の神経とそれに関連する血管が異常に刺激されて起こると考えられているが、正確な原因はまだわかっていない。実際、片頭痛の誘因は他にもたくさんあり、特定のメカニズムに基づく治療法はごく少ない。 「自分にとっての危険因子を特定し、それに合わせて生活習慣を変えることで、頭痛の頻度を減らせます」と、米ウェイクフォレスト大学医学大学院の頭痛・疼痛専門医であるドナルド・ペンジエン氏は言う。