カラフルな幾何学模様はまるでアート!複雑な三次元の多面体を編み上げる、“数学的ビーズ編み”の作品展が開催中 三重・鳥羽市
三重県鳥羽市の登録有形文化財『鳥羽大庄屋かどや』にて、「数学的ビーズ編み」の作品展が開催中です。 「数学的ビーズ編み」とは、数学の理論をもとにビーズで構成された5角形、6角形、7角形をいくつも組み合わせて、複雑な三次元の多面体へと編み上げたもの。長年、高校にて数学教師を務めていた堀部和経さんが独自に考案した技法で、本作品展では堀部さんが30年間作り続けてきた「数学的ビーズ編み」の作品を見ることができます。
会場には、サンゴ礁を思わせるような輪や球体、ねじれた螺旋の造形など60点以上もの作品が展示されています。数学的に規則正しく編み上げられた、カラフルな幾何学模様はまるでアートのよう。「作りたいイメージが思いついたら、手が動いて編んでいる」という堀部さん。作品の設計図はなく、ビーズにテグスを通して、思い描いた構想を形にしているといいます。
堀部さんが数学的ビーズ編みを始めたキッカケは、江戸時代に著された数学公式集「算法助術」内の問題「30個の球で構成される模型」を木球ビーズで作ったこと。そして90個、120個、210個さらには270個の構造を思いつき、ビーズ編みで立体化。その後、ビーズの個数を増やしながら複雑な構造を考案し、環状ビーズ編み、9回ねじれながら2周し全体として環状となる構造を生み出してきたといいます。 ビーズ編みの構造は、5角形・6角形・7角形を繋いだもの。“数学的な解説”として、堀部さんは「環状のビーズ編みでは、5角形と7角形の個数は必ず等しい。つまり5角形と7角形の個数が異なるように編むのは不可能。証明はそれほど難しくないのです。考えてみてはいかがでしょう」と述べます。
“ビーズ編みを通して、数学の楽しさや美しさを知ってもらいたい”という思いから、「数学的ビーズ編み」のワークショップも行っている堀部さん。ワークショップには小学生から数学者まで幅広い層が参加し、国内だけでなく海外で開催することもあるそう。 本作品展の展示物は実際に手にとることが可能。「立体物なので、実際に持って見てほしい」と堀部さんは話します。「数学的ビーズ編み」の作品展は、『鳥羽大庄屋かどや』は8月25日(日)まで開催しています。