業績がコロナ禍前を上回ったアパレル小売業、成長のカギは「EC」「インバウンド」
東京商工リサーチの調査によると、国内アパレル小売業2443社の2023年決算(2023年1-12月期)の売上高は前年比9.2%増の4兆8891億5300万円、最終利益は同41.1%増となる2451億1800万円だった。
2023年のアパレル小売は、コロナ禍で加速したECによる新規顧客の獲得が堅調だったほか、インバウンド需要の急回復や大手ファストファッション事業者による成長が業績拡大をけん引した。
2023年における増減収企業の割合は、増収が37.9%を占め前年比3.6ポイントの増加。横ばいは同1.7ポイント増の32.6%、減収は同5.4ポイント減の29.3%となった。
増減益業の割合は、増益が同0.9ポイント減の33.6%、横ばいは同2.6ポイント増の37.9%、減益は同1.6ポイント減の28.4%。2020年以降は、雇用調整助成金などコロナ関連支援があったことから2年連続で増益企業の割合が上昇していたが、支援金の終了や物価高によるコストアップで収益改善にブレーキがかかったと見ている。
2022年の売上高・最終利益は、ユニクロとしまむらの大手2社がけん引した。2023年は大手2社を除いても、売上高の合計は同9.5%増の3兆3458億7300万円、最終利益は同148.8%増の999億7700万円だった。 アパレル企業別の売上高ランキングは、トップがユニクロで同10.5%増の9324億6100万円、2位がしまむらで同5.4%増の6108億1900万円。売上高上位は、ユニクロやジーユー、アダストリア、ワークマンなどSPA(製造小売業)体制の企業が目立つ。 東京商工リサーチは、ECへの参入・拡大やSPAの構築は、小規模・零細企業にはコスト面や技術・人的資源で負担が大きく、アパレル小売業の企業規模による業績の二極化進行が懸念されると分析している。