株価が大きく下がってくれることを期待、9月末は日本株の今年最後の買い場になりそうだ
③ 日経平均の一番底となった8月5日には1ドル=130円台に突入した円高だったが、今回は140円台で止まっている。 ④ 物価の上昇を反映した7月の「実質賃金」は2カ月連続のプラスとなった。名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額は1997年以来の高水準である。 ⑤ 何よりも世界中が株高だ。景気のソフトランディングに成功したアメリカのNYダウ工業株30種平均、S&P500種指数、さらには成長率の高いインドのSENSEX30はもちろんのこと、景気減速懸念の独DAX指数まで史上最高値となっている。
10月1日に新首相に就任する見通しの石破茂新総裁は、岸田文雄首相が進めてきた経済政策を基本的に引き継ぐ意向を示しており「デフレ脱却を確実に実行」することは継続される。 また、外交が得意だった岸田首相には劣るが、石破新総裁は過去に防衛庁長官を務め、2007~2008年には防衛大臣にも就任している、軍事・防衛に強い政治家だ。 ■「新首相」の関連銘柄は? さらに、長年の持論である「防災省」創設をスローガンにしていることも注目される。したがって、「防衛関連」「防災関連」を中心にして、今までの「デフレ脱却関連」が「新首相銘柄」となる。日銀の利上げに反対だった高市早苗氏の総裁の可能性が高まったのと同時に売られていたメガバンク株の反発に期待したい。
増税をにおわせていた岸田首相も、就任後、市場の洗礼を浴びたこともあり、その後は「資産(所得)倍増プラン」、さらには「資産運用立国実現プラン」へと豹変した。 しかも、これらよりもはるかに強い「所得倍増計画」を唱えている加藤勝信元官房長官を財務大臣に起用するとの話が浮上している。もし、実現するなら、石破新総裁の極めて巧妙な人事ではないか。本日30日のマーケットが大きく下がってくれることを期待する。 (当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト