トヨタとダイハツの関係は、”ドライ”から”ウェット”へ ダイハツの会見を受けてトヨタ中嶋副社長が報道陣に答えた
ダイハツの事業形態は従前となんら変わわらない
中嶋裕樹副社長:本日はもう本当にお忙しいなか、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。まず初めに、トヨタおよびダイハツのおクルマにお乗りいただいている方々で、まだまだご不便、ご迷惑をおかけしております。まずもってそのお客様にお詫びを申し上げたいと思います。申し訳ございません。 今日、ダイハツの会見がありました。1月30日に、トヨタ・グループビジョンというカタチで豊田章男(トヨタ自動車会長)がトヨタ・グループ全体の責任者として、彼から、「次の道を発明しよう」それから「現場に主権をしっかり取り戻す」というメッセージを出してもらいました。その後も、例えばトヨタ・グループ各社の技術系の担当役員が集まって意見交換をしたり、さまざまな行動に移してございます。 おそらく今回も、ダイハツの記者会見、新体制も、現場に主権を取り戻すということの意思の表れだと思いますし、それをこれから井上(雅宏)新社長のもと実行されていくものだと思っています。それに向けて、トヨタとしても全面的にサポートさせていただきますし、一緒になって学べるところは学んでいくということで、今回の軽委託という行為に変わったということでございます。そのあたりで詳細を私からもご説明した方がいいかと思い、この場を設けさせていただきました。
OEMと委託、なにが違うのか?
Q:小型車の事業については、品質についてトヨタが全面的に責任を負うという理解でいいのか?今後、認証業務、開発の管理とか、そのあたりについてもトヨタが(ダイハツへ)委託するということで責任を負うわけだが、そうなると、モビリティカンパニーで、いわゆるダイハツ業務についての例えば専従の人員であるとか、いわゆるその人的な部分で、今回の体制変更に伴う措置は何らか講じることになるのか? 中嶋副社長:はい。その背景をもう少しわかりやすくご説明した方がいいかと思います。まず、ダイハツの事業形態、これに関しては従前となんら変わることはございません。事業と申しますと、一般的には生産、販売ということを指すという認識でございますが、これに関しては、従前のダイハツ工業を主体とした形に変わりません。今回一番大きく変化が与えますのは、開発企画から認証という、どちらかというとクルマを作るまでのステージ、開発段階における役割分担を、従来のダイハツOEMという形からトヨタからの委託という風に変えさせていただこうというのが趣旨でございます。 OEMと委託、一番わかりやすく言うとOEMは責任をOEM先に持っていただいて、我々はその供給していただくだけという、言葉遣いはよくないかもしれませんが、(ダイハツは100%トヨタの子会社)100%子会社という関係であっても、先方(ダイハツ)からいただく、すなわち、先方の開発内容をすべてリスペクトをし、ダイハツさんの基準で作られたものをもらうという立場でございます。それに関しまして、今回の委託というのは、特に再発防止の観点で、認証に関しましては、海外事業において(ダイハツは)残念ながら経験も少ないということと、今法規がどんどん毎年のように変わっていきます。その法規の数と国の数、さらには車両の数というのが掛け算となってかなり膨大な負荷になってまいります。このあたり、トヨタ自動車自身は以前から海外のプロジェクトもたくさん担当させていただいており、それらに長けた人間もたくさんいるという実態でございます。先日の謝罪会見でも私が申し上げたのは、トヨタの責任はどこにあるのかというご質問に対して、やはりその認証という行為に対してどれだけのリソーセスをダイハツが抱えているのか、それをトヨタがちゃんと認識した上でOEM供給してもらっていたのかといったことに関しては、我々そこしっかり確認できておりませんでしたという点でお詫びを申し上げたと思います。この点が一番の大きな課題であるということで、開発認証に対して責任をトヨタが取るという形をさせていただきます。 開発の行為、当然仕事ですから責任と行為そのものがあります。行為そのものは、ダイハツは従前から小さなクルマで海外のプロジェクトに対してもお客様の元に通い、お客様の意見を反映したクルマづくりということを長けております。これは我々以上だと思っています。ですので、彼らの強みはしっかりと活かせていただく。ただし、責任企画を一緒になって我々も勉強させていただいて、ある意味ドライな関係であったOEM供給から、より我々も強いところ、ダイハツの強いところ、互い合わせて新興国のお客様により一緒に届けていくウェットな関係にもなっていこうというのが考えでございます。そういう意味では、人の交流も含めてさまざまな階層で我々もダイハツから学ぶところがたくさんあります。ですので、我々の人がダイハツへ出向してみたり、開発メンバーがトヨタに出向していたり……これは以前からもやっておったんですけども、OEM供給というカタチですと、そこはやっぱり線を引くという形でございました。そうではなく、お互いがより、ちょっとウェットという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、お互いがお互いのことを学び合うという姿勢で今後も仕事をして、その結果、お客様により良い商品が届けられるという考えでございます。 Q:繰り返しだが、認証に責任を持つことは品質に責任を持つということでいいのか? 中嶋副社長:おっしゃる通りです。OEM供給の場合は、認証責任をすべてOEM供給元が持ちます。今回は我々に委託という行為をさせていただいて、我は最後、認証に関して責任を取るということでございます。