「NMB時代のやり方」では越えられない壁が次々と……山本彩が歩む“自分だけの道”を切り拓く旅
先行きの見えない時代、信じた道を歩む強さとは――。 不安定な時代だからこそ、自分の心に響くものを信じ、力強く進む。軽やかでしなやかなスタイルを貫きながら、ひたむきに心が求めるままに歩む姿勢は、どんな状況でも彼女らしさを際立たせる。そんな挑戦を続けるシンガーソングライター・山本彩の生き様を追った。 【写真11点】「山本彩が歩む“自分だけの道”を切り拓く旅」の詳細を写真でチェック
挑戦と葛藤の日々――ソロアーティストとしての試練
2019年、NMB48を卒業した山本彩は、シンガーソングライターとしての新たな一歩を踏み出した。この6年間の歩みは、順風満帆とはいえないが、彼女にとって大きな成長と挑戦の軌跡だった。 「グループ時代は、努力を重ねることで、想像以上の自分に近づけた実感がありました。でも、ソロになってからは、そのやり方だけでは乗り越えられない壁が次々と立ちはだかりました」。 NMB48の中心メンバーとして「さや姉」の愛称で親しまれ、朝ドラ主題歌のセンターも務めた。しかし、すべての決断を一人で下し、自分の力で切り開くソロ活動は、未知の領域だった。
2019年のスタートは、3枚のシングルをリリースし、アルバムを発表。大型フェスへの出演も果たし、「ソロアーティスト山本彩」としての存在感を確実に刻み込んだ。 しかし、その道のりは、翌年のコロナ禍という予期せぬ困難に阻まれる。エンターテインメント界全体の急激な変化は、彼女を苦悩の中へと追い込んだ。 「ライブやフェスの中止が相次ぎ、業界全体が変化を余儀なくされる中、シンガーソングライターとしての自分を見つめ直す時間が増えました。その中で、アーティストとしての『主観』と『客観』のバランスをどう取るべきか、本当に悩みました。求められるアーティスト像や時代の変化に対して、生真面目な性格が災いして、必要以上に深く考え込んでしまったんです」。 時代の荒波に挑み、立ち向かう。その過程で山本は、自らの心と身体のバランスを崩してしまった。2021年末、彼女は活動休止を決断する。