わが子が分別のつかない「鬼」になる…スポーツ指導者の暴力・暴言で"壊れた子供たち"の悲惨な結末
■大人のパラダイムシフトが不可欠 ぶっきらぼうで、ときに暴力行為を伴う指導がなくならないスポーツ界は、いま、過渡期である。厳しい指導がなされて然るべきだという信憑を完全に払拭するまでには、まだまだ時間がかかるだろう。こうした移行期にスポーツをする子供たちの心身を守るために、すぐそばで彼、彼女らを見守る親にはこの2つの視点を持って接してほしい。 ぶっきらぼうな指導を駆逐し、子供が夢中になれる環境を作るためには、スポーツに関わる大人のパラダイムシフトが必要である。人を「鬼」にするのがスポーツではない。たくましく人生を生き抜く力、すなわち「胆力」を育むためにスポーツはある。この考え方が広く浸透すれば、日本のスポーツ界は健全化に向かうだろう。 ---------- 平尾 剛(ひらお・つよし) 神戸親和大教授 1975年、大阪府生まれ。専門はスポーツ教育学、身体論。元ラグビー日本代表。現在は、京都新聞、みんなのミシマガジンにてコラムを連載し、WOWOWで欧州6カ国対抗(シックス・ネーションズ)の解説者を務める。著書・監修に『合気道とラグビーを貫くもの』(朝日新書)、『ぼくらの身体修行論』(朝日文庫)、『近くて遠いこの身体』(ミシマ社)、『たのしいうんどう』(朝日新聞出版)、『脱・筋トレ思考』(ミシマ社)がある。 ----------
神戸親和大教授 平尾 剛