クラッチ操作不要でスポーティ&イージーに楽しめる E-Clutch、ホンダ「CB650R/CBR650R」に見た新時代
■MTながらATライクに乗れる新たな楽しみ方の提案 よりスポーティに、よりイージーにライディングが行えて、疲労軽減から安全面でも寄与する。さらにHonda E-Clutchはいつでもライダーによるクラッチレバー操作やシフトペダル操作を受け入れてくれる。普段はシステムによるクラッチ制御をライダーが受け入れつつ、自身でフルにライディングを楽しみたいときは、いつもと同じMTモデルの操作で積極的に操ることができる。これこそHonda E-Clutchが目指した姿だ。
「個人的にはCB650R/CBR650Rに搭載できてうれしかった。直列4気筒ならではの鋭いエンジンの吹け上がりをHonda E-Clutchが際立たせることができるからです。これまでの試作車はすべて4気筒モデルでした」と、小野さんは満面の笑みで開発秘話を語ってくれた。 開発者インタビューに続いて、Honda E-Clutchを搭載したCB650R/CBR650Rにクローズドコースで試乗した。筆者はDCT搭載モデルである「VFR1200F DCT」に2010年8月~2015年8月まで乗り、直後にVFR1200F DCTをベースにしたクロスオーバーモデルで同じくDCTモデルの「VFR1200X」に乗り換え今にいたる。
仕事柄、国内外の二輪車、四輪車、商用車に試乗しているため愛車の走行距離は所有年数からすれば少ないが、それでもDCTモデル2台合わせた距離は地球1周ぶんを優に超えた。DCTはクラッチレバーがなくシフトペダルも存在しない。いわゆるAT感覚で乗れるが、筆者は左足のシフトでDCTギア段の制御ができる純正アクセサリーの「チェンジペダル」を装着している。 ■DCTとE-Clutchの違い DCTは、偶数ギア段用と奇数ギア段用のクラッチセット2つを使いわけて瞬時に変速を行い、エンジンの力を駆動力に変換する。そのため変速時の駆動トルク抜けが非常に少なく、MTモデル以上に素早いギア段のアップ&ダウンシフトが行える。ただし、仕組みが複雑でトランスミッション単体としても大きく重く、二輪車向けのトランスミッションとして採用するために、膨大な開発工数がかけられた。