「なんでもっとできなかったのか」 7歳の男子小学生がトラックにひかれ死亡 事故の通報者が明かす自問自答
事故翌日も小学生の子どもたちが1人で歩く様子が見受けられた
東京・渋谷区の路上で25日、7歳の小学生男児がトラックにはねられ死亡する事故が発生した。住宅街を通る交通量の多い道路で起きた悲劇。事故現場には多くの花が手向けられ、訪れる人たちが涙を流して追悼し、悲しみが広がっている。事故発生時に現場に居合わせ、119番通報を行ったという男性が当時の様子を明かした。「他に助けられる方法がなかったのか」と自問自答し、無念の思いに駆られているという。 【動画】初めてでも簡単? 実際のAEDの使用映像 「近くに約15年住んでいるのですが、こんな事故が起こるのは初めてです。もう本当に気の毒でしょうがないです」。事故を目撃し、救急通報を行った55歳の自営業の男性は伏し目がちに話した。 警視庁によると、事故が発生したのは25日午後4時50分ごろ。トラックが片側1車線の道路を甲州街道方向へ進行中に小学生男児と衝突した。警視庁はトラックを運転していた63歳の会社員を逮捕、男児は翌26日午前3時51分に死亡が確認された。 事故が起きた時間帯となる26日夕、実際に現場を訪れると、山手通りと甲州街道を結ぶ道路ということもあり、車、歩行者ともに通行量が多い状況だった。男児が事故に遭った次の日も小学生とみられる子どもたちが1人で歩行する姿や、自転車で通行している様子が見受けられた。現場近くには横断歩道が2つあるが、少し離れたところにあり、車が通行しないタイミングを見計らって道路を横断する人や自転車も多く見られた。道沿いにはスーパーやコンビニ、飲食店などのほか、住宅が立ち並んでいるため、ガードレールは設置されているものの、途切れ途切れであったり、間隔が長く開いている場所もあった。 事故を受け、現場には花束や飲料などが置かれ、子を連れた親が手を合わせに訪れていた。男女問わず、涙を流しながら現場を後にする人も多数見かけられた。 119番通報を行った男性は、現場付近に約15年住んでいるといい、「なんでこんな通るのっていうぐらい車が多い道です。横断歩道までは少し距離があるので、自分も含めて毎日人が(現場付近を)横断しています。渡るときは毎回怖いですね」と、普段の交通状況を説明する。 事故を目撃したのは、現場付近のスーパーで買い物をした帰り。「当時現場には僕と3人ぐらいいたかと思います。最初はドカンと音がしました。ただ、車同士が衝突するような大きな音がしたわけではなかったので、原付バイクか電動モペットとかがぶつかったのかなと思ったんです」。音がした現場を見ると、トラックが向かい側の歩道に突っ込んでいる光景が目に入った。 「子どもがタイヤの近くにうつ伏せで倒れていました。本当に小さい子だったんですよ。頭からは血が流れていて、その横にはリュックサックが落ちていました」。付近にいた数人でそれぞれ通報。この男性は119番通報を担当したという。「110番はすぐつながったんですけど、119番がなかなかつながらなくて。つながった後は、本当に数分で救急隊が来たという感じでした」。 事故を起こした運転手は茫然自失の状態だった。「運転手は歩道に立って、ぼーっとしていました。やっちゃったという感じで、もう本当に何が起こったか分かんないという感じでした。本当に不幸な事故だったと思います」とやり切れない表情で語った。 救急隊が来るまでの間、リュックサックに入っていた子ども用の携帯電話などを発見し、親に連絡をするなどその場で対応に当たったという。それでも、男性はまだできることがあったのではないかと自問している。「なんでもっとみんなで(男児の救助が)できなかったのかなと思っています。気道確保とかAED(自動体外式除細動器)とか……。でも、引っ張り出したところで何ができるの、という話でもあるのかなと。きょう(26日)の未明までは生きていたわけでしょう? 他に助けられる方法がなかったかなと思って、事故の後、消防にも問い合わせたりもしました。今後、折り返しで連絡がある予定です」。苦しい胸の内を明かした。 小学生が亡くなるという痛ましい事故の発生は後を絶たない。警視庁は、事故原因などについて捜査を進めている。
ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム