「豊田さんは日本になじめるよう助けてくれた素晴らしいコーチ」西武で学んだスプリットを武器に好投を続けるメッツの“元助っ人”<SLUGGER>
「チームにどうやって溶け込めばいいかをよく考えた」
――西武の豊田清コーチの指導が大きな助けになったという記事も読みました。 RG (嬉しそうに)その通りだ。スプリットを投げ始めたのは日本に行く直前だった。日本での初のキャンプでトヨダサンにたくさん指導してもらった。握りを変えたおかげで、速球と同じような感覚で投げられるようになり、より効果が出るようになった。ベースボールの指導はもちろん、日本のカルチャーに少しでも馴染めるように尽力してくれた素晴らしいコーチだった。 ――日本で学んだという「平常心」を英語で説明すると? RG どんな状況でも自信を持つこと、かな。自分自身を信頼すること。厳しい状況でも、精神的に強いんだと信じられること。プレッシャーのかかる状況下での平静さ、とかそんな感じだと思う。 ――言葉の違いもあり、特に当初は日常生活も大変だったんではないかと想像します。難しかったのはどういったところでしょう? RG まずはどうやって街中や施設を動き回ればいいかを一から学ばなければならなかった。お店に行って、買い物をするとかそういうことも最初は大変だった。西武のブルペンでアメリカ人は私だけだったから、チームにどうやって溶け込めばいいかをよく考えたものだ。他の選手たちは何をするのが好きかとか、何をすれば面白いと思うか、どうすれば友人になれるかとかそういうこと。簡単ではなかったけれど、おかげで人間として成長できたと思う。 ――今でも連絡を取り合っているチームメイトはいるんでしょうか? RG 当時の通訳とは今でも仲がいい。あとは多くのチームメイトをインスタグラムでフォローし、チームの状況も追いかけている。残念ながら今季、西武が厳しいシーズンを過ごしていることも知っているよ。 ――メッツでは千賀滉大投手と日本語で話したりもするんですか? RG たまに私が知っている日本語で話しかけることはある。「オハヨウゴザイマス」「ゲンキデス」「マタアシタ」とか、そのくらい。会話を続けるのは難しい。本当に日本語は難しいね(笑)。 ――打撃が得意だと聞いていますが、大谷翔平選手のように二刀流を考えたことはなかったんでしょうか? RG 21年の交流戦の時、打撃練習で何本か本塁打を打ったからそう言われるようになったんだ(笑)。二刀流なんて無理だよ。できたら素晴らしいんだろうけれど、やろうと考えたこともない(笑)。 ――メジャーでの今後の目標は? RG これからも可能な限り長くベースボールをプレーしたい。メジャーリーグに長くいたいね。それが僕にとって最も重要なことなんだ。 取材・文●杉浦大介 【著者プロフィール】 すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。
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