【財政検証】33年後に受け取れる年金水準が「2割減」に…現在の年金受給額はいくら?
前回の財政検証よりも改善した背景
5年前の財政検証と比較して、所得代替率が改善した背景には主な要因として「労働者の増加」と「厚生年金保険加入者の増加見込み」が挙げられます。 少子化が進む日本ですが、女性や高齢者の労働参加率が向上したことにより、年金財源の確保がより容易になったと考えられます。 また、厚生年金保険料の適用拡大も改善の理由の一つです。 2024年10月から社会保険適用が拡大され、現行制度では従業員101人以上の企業が対象でしたが、2024年10月以降は従業員51人以上の企業に拡大されます。 この適用拡大によって保険料収入の増加が見込まれ、年金財政の改善に寄与すると予想されます。 これらの要因を背景に、今回の財政検証の結果が改善傾向になっているのだとうかがえます。
現在の年金受給額はいくら?
では最後に、現在の平均的な年金受給額を確認していきましょう。 厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金それぞれの平均月額は下記のとおりです。 ●【厚生年金の平均月額(国民年金を含む)】 ・全体:14万3973円 ・男性:16万3875円 ・女性:10万4878円 ●【国民年金の平均月額】 ・全体:5万6316円 ・男性:5万8798円 ・女性:5万4426円 国民年金は保険料が一律であるため、受給額の個人差は比較的小さいです。 しかし、平均月額は約5万円程度と、生活を支えるには十分とは言えない金額となっています。 一方、厚生年金は加入者の年収に応じて保険料が変動するため、受給額に個人差が生じます。 厚生年金は国民年金に「上乗せして受給」されるため、一般的に国民年金のみよりも受給額が高い傾向にありますが、厚生年金においても平均月額は約14万円程度であり、現役時代の収入と比較すると大幅に減少します。 さらに、将来的にはこの金額がさらに減少する可能性が高いと予測されており、年金だけでの生活はより厳しくなると考えられます。 こうした状況を踏まえると、安定した老後生活を送るためには、「年金だけに頼らない資金準備」がますます重要になってくると言えるでしょう。