自転車の「ながらスマホ」「酒気帯び運転」の罰則が強化…11月1日から施行される「改正道路交通法」で何が変わる?専門家が解説
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。 10月20日(日)の放送テーマは「罰則が強化されます! 自転車のスマホ・酒気帯び運転」。ゲストに警察庁 交通局交通企画課 課長補佐 梶原涼介さんをお迎えして、11月1日(金)から施行される改正道路交通法について伺いました。
◆自転車運転の“ながらスマホ”で事故を起こす若者が増加
例年、自動車や自転車による交通事故及び交通死亡事故は、月別では10月~12月が増加傾向にあり、時間帯別に見ると、日の入り時刻の前後1時間、薄暗い"薄暮”の時間帯に多くなる傾向があります。また、飲酒運転による死亡・重傷事故も年末にかけて増加します。 さらに梶原さんは、「自転車運転者が携帯電話やスマホを使用するなどして交通事故を起こした件数は、ここ10年間で増加傾向にあり、昨年は139件でした。そのうち、12件は通話目的での使用、残り127件は画像目的の使用でした。自転車運転中の“ながらスマホ”で事故を起こすのは10代の若者が最も多く、続いて20代、30代と若い世代が圧倒的に多くなっています」と解説。ここでいう"画像目的”とは、自転車を運転中に動画や地図、SNSを注視していて事故を起こしてしまったケースを指します。 また“過信・油断”も交通事故を引き起こす大きな要因の1つと言えます。「自転車であっても、運転しながら通話をしたり、画像を見たりすれば、意識が散漫になってしまい、その結果、周囲の危険を察知できずに歩行者や他の車に衝突するなど、重大な交通事故につながってしまう可能性は十分にあります」と注意喚起を促します。
◆11月の改正道路交通法で何が変わる?
さらに、2024年11月1日(金)にも改正道路交通法が施行されます。今回の法改正では、自転車などによる交通事故防止を目的とした変更がおこなわれています。例えば、自転車運転中のながらスマホは罰則の対象になり、違反者は6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金、ながらスマホが原因で事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合には、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。 なお、自転車の停止中の操作は対象外のため、自転車走行中に電話が鳴ったり、地図を確認したくなった場合は安全な場所に停車してから携帯を操作するようにしましょう。 酒気帯び運転においては、現在も道路交通法で飲酒の程度に関わらず禁止されていました。飲酒運転による死亡・重傷事故率は、飲酒をしていない人と比べて約1.9倍にも跳ね上がります。しかし、これまで自転車の場合は“酒酔い運転のみ”が罰則の対象で、酒気帯び運転は罰則の対象外でしたが、今回の改正により、酒気帯び運転も罰則の対象となりました。違反者は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。 <酒酔いと酒気帯びの違い> ・酒酔い 呼気中のアルコール濃度とは関係なく、客観的に見てアルコールが原因で正常な運転ができない恐れがある状態で運転すること ・酒気帯び 酒に酔った状態ではないものの、呼気1ℓ中のアルコール濃度が0.15mg以上ある状態で運転すること また、自転車の飲酒運転を助長した人も罰則の対象になります。お酒を飲んだ人に自転車を貸したりすると、酒気帯び運転した違反者と同じ3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。自転車に乗ると分かっているのにお酒を提供した人や、飲酒をすすめた人、また、その自転車に同乗した人は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。