“平成の園遊会”名場面の数々 時代を彩った人たちとの触れ合い【皇室 a Moment】
この時、私も取材しておりましたが、上皇さまは上皇后さまと、いまだ火砕流が続く中、避難所や仮設住宅をワイシャツを腕まくりし膝をついて回られ、これが後に「平成流」と呼ばれる自然災害の被災地お見舞いの出発点になりました。 ――こうしてみますと、園遊会というのは単にお話をして楽しむというだけでなく、両陛下が現場の生の声、あの後どうなったんですかと、過程をお聞きになるような大事な機会になっているんですね。 おっしゃる通りだと思います。園遊会は、両陛下や皇族方が国民と触れ合う大切な機会だと思います。平成の両陛下も、今の両陛下も、名簿に事前に目を通し、どんな人が招かれているかを頭に入れて、名札を見ながら話しかけられているそうですから、この機会をいかに大切にされているかがわかります。そこには笑顔があって、励ましがあって、労いがあって、国民と共にあろうとする皇室にとってこれが大切な場であることがうかがえると思います。 ――これから令和の時代、両陛下がどんな方々と会ってどんなお話をされるのか楽しみですね。 1人でも多くの方々と触れ合っていただきたいと思います。 【井上茂男(いのうえ・しげお)】 日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)