修行を積んでから独立できる?雇われ士業のリアル (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■実務は独学で習得可能である
社労士や税理士などとは異なり、研修や実務経験が開業要件ではない資格の場合、士業の仕事をやったことがなくても、開業することが可能になります。行政書士がその典型例です。 この行政書士を例に挙げましょう。このように就職が難しく、実務経験を積める機会に恵まれない士業はいったいどうしたらよいのでしょうか。正解は「実践する中で覚えていく」です。しかし、まったく実務の経験がなくても、本当に仕事ができるようになるのでしょうか? いうまでもなく、実務経験なしにはできない仕事もあります。しかしながら、見方を変えれば経験がなくてもできる仕事はあるのです。実際、私が23歳で開業した当時がそうでした。 社会人経験もほとんどない状態にありながら、それでも会社の設立手続き、車庫証明、宅建業の免許申請、内容証明、契約書などの仕事をこなしてきました。 結論をいえば、未経験でも真剣に勉強し、取り組めば実務は独学で学ぶことが可能です。ここでの回答の最後に、独学で実務を学ぶ場合の注意点をいくつか挙げておきます。 ポイントは3つです。 ひとつ目は相談できる同業者の先輩、仲間をつくっておくこと。書籍だけの情報や知識は、劣化していることも多く、最新の情報でないことも多いといえます。そのため、最新の情報を押さえたり、イレギュラーなケースを相談したりするために、同業者のネットワークをつくっておきましょう。 ふたつ目は役所に指示を仰ぐこと。独自の判断で書類を作成するよりも、できる限り役所と相談しながら書類をつくる習慣をつけると間違えのない書類作成ができます。担当者の名前もおさえて「言った、言わない」の水掛け論にならないように配慮することも重要です。 最後のポイントは、本だけでなく研修を受けることです。各書士会などでは必ず研修を実施しています。法律や手続きは毎年変わるものですから、いつでも生の情報を入れられるように研修で情報を仕入れておくことが肝要です。 以上の3つのポイントを押さえれば、難解な実務を除けばできるようになります。法律は基本的には答えのある世界です。ぜひ怖がらずに実践してみてください。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。