2024年の最初と最後を飾った男子テニス界の若き才能、坂本怜!「大きなテニスを作っていきたい」とさらなる成長を誓う<SMASH>
「あそこで1試合勝ち、2試合勝った時に、『あれ、いけんじゃないか?』って思ってちょっと自信がついて、そこから本当に腹の底から自分を信じることができた」 さらに結果的に敗れはしたが、慶應チャレンジャー3回戦の清水悠太戦で、第2セットの1-5と追い詰められたところから逆転で第2セットを取った事実は、「アップダウンが激しく、ダウンしたら戻ってこられない」という課題を克服できたという点でも、大きな意味を持ったという。 なおこの試合中、敗戦間際に追い込まれた坂本の頭をよぎったのは、最近読んだ松下幸之助の著書『道はひらく』内の、「『仕事とは、世間に求められて初めて成立する』というような一説」だったという。この書籍は、デビスカップ強化プロジェクトコーチの綿貫敬介と、同トレーナーの石榑結太から送られたもの。そのような周囲の人々のサポートに、坂本は「自分は“持っている”」と感謝した。 「何をするにしても、周りの人に恵まれている。スポンサーさんも含め、すごく手厚いサポートで周りの環境を整えてくれる人がたくさんいて、本当に1つ欠けてたら、今の自分はないなってことが多い」 その上でここからは、自分自身でその環境を整えていく必要性を噛みしめる。 「今まで盛田ファンドで作ってもらっていたものを、自分で作り、自分の決断でやっていかないとすぐ終わりだなと。自分に良い影響を与えてくれる人たちで、周りを固めることが今、一番必要なことかなと思います」 思えば今年の日本男子テニス界のニュースは、この人に始まり、この人で終わったと言えるかもしれない。 ただ当の坂本は、「まだ何も始まってない」と言う。 「焦らず、大きな器を、大きなテニスを作っていきたい」 目指すは「グランドスラム優勝と、世界1位」。その壮大な夢への旅が、いよいよ始まる。 取材・文●内田暁