ハミルトン、ラルフ・シューマッハーの同性交際カミングアウトに「ポジティブだけど、まだ長い道のりがある」
ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハーが同性との交際を明らかにしたことについて、F1にとって”ポジティブなメッセージ”だとしながらも、包括性を促進するためにもっと努力する必要があると語った。 【動画】ブラッド・ピット主演のF1映画、2025年の公開を前にティザー映像が先行配信 ジョーダンやウイリアムズ、トヨタでF1を戦い、計6勝をマークしているシューマッハーは、7月14日に自身のインスタグラムに男性パートナーと腕を組み夕陽を眺める画像を投稿。次のようにコメントを添えた。 「人生で最も美しいことは、すべてを分かち合える適切なパートナーがそばにいるときだ」 シューマッハーはその翌日、パートナーとのツーショットを投稿し「たくさんの祝福とコメントをありがとう。私たちはとても幸せで、皆さんに感謝している」とコメントした。 7度のF1王者に輝いたミハエル・シューマッハーの弟でもある彼は、同性愛をカミングアウトをしたF1史上4人目のドライバーであり、21世紀にF1を戦ったドライバーの中では最初のひとりとなる。 シューマッハー以外の3人は、1971年から1973年にかけて個人所有のマーチに乗ってF1に参戦したマイク・ボイトラー、1975年に女性ドライバーとして初めてポイントを獲得したレラ・ロンバルディ、1959年から1964年に計5戦F1を戦い、75歳となった2009年にバイセクシャルであることを公表したマリオ・デ・アラウージョ・カブラルである。 現役のF1ドライバーたちは、ハンガリーでシューマッハーの決断について意見を求められ、彼への支持を語った。 LGBTQ+の権利を擁護し、同性愛が違法とされている国で開催されたレースではヘルメットに6色のプライドフラッグ(LGBTのシンボル)を描いてレースに臨んだハミルトンは、次のように語った。 「スポーツの世界では、まだ長い道のりがあると思う」 「”同性愛が受け入れられている”ということと、”人々がその環境で快適に過ごせるようにする”ということは別のことなんだ」 「ここは男性優位の空間であり、僕が知る限り、彼は公然とオープンにした最初の一人だ」 「しかしこのスポーツは、人々がより快適に感じることができるように、また、女性がこの空間でより歓迎されるように、もっと努力し続ける必要があると思う。まだまだやるべきことはたくさんあると思う」 シューマッハーの決断は状況が変化していることを示しているのかと聞かれると、ハミルトンはハンガリー政府が18歳未満にLGBTQ+の問題を教えることを禁止する法律を可決しようとしていたことを背景に、2021年のハンガリーGPで彼とセバスチャン・ベッテルがLGBTQ+コミュニティをサポートすることを決めたことを指摘した。 「彼(シューマッハー)が過去にカミングアウトできないと感じていたかどうかは分からない。でも、ようやく一歩を踏み出すことができる、恐れる必要のない時代になったということだと思う」 「今のところ、それにみんなはポジティブなフィードバックをしている。セブと僕がこのグリッドに立って、ここ(ハンガリー)やサウジアラビア、カタールの政府と戦うことからすべてが始まったんだ」 「もしラルフが今、そうしたことができそうだと感じたとしたら、それが彼の気持ちを変えたのかもしれない。そういうことができる人がもっと必要なんだ」 さらにF1にできることは何かという質問に、ハミルトンは次のように付け加えた。 「いい質問だね。僕の頭では解決策が思いつくか分からない」 「でも多くの場合、その解決策は対話だということを知っている。主要な利害関係者との対話なんだ。アクセシビリティがどうなっているかを分析することだ」 「それはその中に含まれていると感じる人、感じていない人から情報を得て、コミュニティを巻き込むことなんだ」 「ここにいるすべての人にアンケートをとり、いくつかの質問をして、どう感じているか、どうしたらいいと思うかを正直に聞くだけだ」 「できることはたくさんある。でも、まずはそれを口にすること、そしてそれが問題であることを無視するのではなく、もっと優先順位をつけて、それを提起し、実際に何人かの人にタスクを課して、どうすれば人々に感じてもらえるかを考えることなんだ」 ハミルトンだけでなく、シューマッハーと同じドイツ出身のニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)も支持を表明した。 「もちろん、非常に個人的な問題だけど、僕は祝福するよ」 「多様性が重視される現代において、彼がカミングアウトしたとしても何も問題はない」 シューマッハーとF1で戦った経験もあるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)も「彼におめでとうと言いたい」と語った。 「僕や、F1関係者全員から全面的なサポートがあると思う」 「彼が良いフィーリングを感じていることは素晴らしいことだし、僕たちも同じだよ」
Ben Hunt