伝統食材・麹をもっと食卓へ:万能調味料「白味噌」と「甘酒」を楽しもう~半日で作れるレシピを紹介
〈水煮大豆でお手軽 白味噌〉
【材料】 (出来上がり目安量=650グラム、塩分濃度は約5%) ・水煮大豆…230グラム(乾燥大豆で100グラム相当) ・米麹(乾燥)…300グラム ・塩…30グラム ・水…250ミリリットル
【作り方】 (1)大豆をマッシャーなどでつぶす。
(2)米麹と塩を混ぜる(先に混ぜておくと大豆と均一に混ざりやすい)。 (3)炊飯器に(1)と(2)、水を入れてよく混ぜる。
(4)ふたを半開きにしたまま、
上からタオルをかけ、保温モードで6時間おく。
(5)完成。清潔な容器に移して粗熱を取り、ふたをして冷蔵庫で保存する。すぐに食べられるが、冷蔵庫で1週間寝かせると味がなじむ。 冷蔵で1カ月、冷凍なら6カ月ほど保存可能。カチカチに凍らないので解凍せずに使える。
白味噌ってどんな味噌?
味噌とは一般的に、蒸し大豆または煮大豆に麹と塩を加えて熟成させたもので、地域ごとの食文化に合った色や味わいが受け継がれている。平安時代に王朝文化の産物として京都で発祥したとされる白味噌は、その名の通り色が白く、甘いのが特徴。砂糖の代わりとして和菓子などに使用され、その後、精進料理や懐石料理に欠かせないものとして普及した。 味噌は熟成期間が長いほど色が濃くなるが、白味噌の熟成期間は数日から1カ月程度と、通常よりずっと短い。一般的な淡色味噌は大豆と麹の割合が1:1程度であるのに対し、白味噌は1:2以上と麹の量が多い。麹が多いほど甘くなる。一方、塩の量は淡色味噌が10~12%であるのに対し、白味噌は5~6%と半分程度だ。
アレンジ自在の万能調味料
白味噌の使い道は、酢と合わせて「酢味噌和え」にしたり、関西では正月のお雑煮にしたりといったところが一般的だ。しかし、さまざまな味噌料理を研究してきた私にとって、白味噌は万能調味料であり、世界中の人に使ってほしい素晴らしい食材である。 白味噌は淡色味噌や赤味噌のようにしょっぱくなく、そのままでも食べられるほどマイルドな味わいだ。少し塩気のある白いあんこか、コクのあるホワイトチョコレートのような味を想像してほしい。 私は料理をミルキーにしたいとき、例えばカルボナーラやクリーム煮などを作る際、生クリームの代用として白味噌を使う。乳製品にアレルギーのある人や、カロリーを控えたい人にも最適だ。 ちなみに、白味噌を料理に使うときは、淡色味噌の倍量を目安にするといつもの塩加減になる。倍量を使えば、摂取する大豆の量も自然と倍になる。つまり、普段の味噌を白味噌に替えるだけで、麹の栄養だけでなく、大豆の良質なタンパク質と豊富な食物繊維も多めに補給できる。 色の白さを生かした使い方も楽しみたい。例えば、梅干しを包丁でたたいて白味噌に混ぜると、ピンク色の梅味噌になる。バジルの葉など色鮮やかな野菜をつぶして混ぜれば、きれいな色のピューレやソースになる。 白味噌は自己主張が強くないので、さまざまな食材と相性が良い。酸味のある粒マスタードや辛みのある豆板醤などと合わせると、バランスよく相手を引き立てるディップになる。ティラミスを作る際、マスカルポーネチーズに混ぜると一段とコクが出る。イチゴやキウイなど甘酸っぱい果物や、ドライフルーツに合わせても美味だ。