伝統食材・麹をもっと食卓へ:万能調味料「白味噌」と「甘酒」を楽しもう~半日で作れるレシピを紹介
〈これ以上シンプルにできない甘酒〉
甘酒の歴史は古い。奈良時代の720年に完成した歴史書『日本書紀』に、甘酒の起源といわれる「天甜酒(あまのたむざけ)」についての記述が残っている。続く平安時代には、宮中の貴族らが「夏の飲み物」として冷やし甘酒を楽しんでいたそうだ。現代では「冬の飲み物」というイメージもあるが、実は俳句では夏の季語だ。
【材料】 ・米麹(乾燥)…200グラム ・水…400ミリリットル
【作り方】 (1)米麹を手でほぐし、水とともに炊飯器に入れる。 (2)ふたを半開きにしたまま「保温」モードにし、炊飯器の上からタオルをかけて8時間おく(白味噌の作り方(4)を参照)。 ※保温6時間で甘さ控えめ、10時間超だと濃厚になる。15時間以上は酸味が出るので注意。 (3)完成。清潔な容器に移して粗熱を取り、ふたをして冷蔵庫で保存する。 冷蔵で1週間、冷凍なら6カ月ほど保存が可能。使うときは自然解凍する。 甘酒はとても甘味が強いので、飲むだけでなく、コーヒーに入れる、煮物を作るときに入れるなど砂糖代わりに使ってもよい。ネギやニンニクなどの薬味を刻んだものに甘酒を混ぜ、醤油や味噌で味を調えれば、焼き肉のたれになる。ドレッシングのベースにするのもお勧めだ。
【炊飯器がない場合】
白味噌も甘酒も、保温の工程はヨーグルトメーカーやオーブンで代用できる。 〈ヨーグルトメーカー〉 容器のサイズに応じ、材料を半量にして作るか、2回に分けて保温するなど調整。白味噌も甘酒も、保温時間は炊飯器に同じ。 〈オーブン〉 庫内に布巾を敷き、その上にプラスチックのボウルなどに入れた材料を置く(金属容器を直置きすると熱が伝わりすぎるため)。発酵モード(45度程度)に設定し、白味噌なら8~10時間、甘酒なら10~12時間保温する。 白味噌も甘酒も、このように簡単に手作りできる。日本の伝統的で健康的な食材を毎日の食生活に取り入れて、麹のある豊かな食卓を未来へつなげていきたい。 写真=いずれも筆者提供
【Profile】
岩木 みさき 料理研究家・栄養士。“生産と消費を紡ぎ、すぐに実践できる健康レシピ”をテーマに料理教室「misa-kitchen」を主宰、企業や行政の依頼に応じメニュー考案や料理撮影も手掛ける。2016年よりみそに魅せられ、情報発信サイト「みそ探訪記」を開設。日本各地のみそ蔵巡りをライフワークとする。メディア出演多数。著書に『奇跡の発酵調味料 みその教科書』(エクスナレッジ)などがある。