内臓脂肪はなぜ増えるとよくないの?太っていないのに“隠れ内臓肥満”なのはどんな人?【更年期世代の我慢しないで内臓脂肪が勝手に落ちるプロジェクト①】
生活習慣病の原因になるなど、落としたほうがいいといわれている内臓脂肪。自分は太っていないし大丈夫と思っていても、痩せ型の人でも内臓脂肪がついている“隠れ内臓肥満”になっている場合も。そこで、形成外科医であり、分子栄養学認定医でもある齋藤真理子さんに、内臓脂肪が増えるとよくない理由や“隠れ内臓肥満”について伺った。
内臓脂肪が増えると、体内で慢性的に炎症が起き、さまざまな病気の原因に!
まずは、内臓脂肪とはどんなものなのか、なぜ増えるとよくないのかについて齋藤先生に伺った。 「体には2種類の脂肪があり、皮膚と筋肉の間の脂肪が皮下脂肪で、臓器のまわりにつくのが内臓脂肪です。 このうち、増えすぎると問題なのが内臓脂肪です。 内臓脂肪が増えると、脂肪を蓄える機能を持つ脂肪細胞がパンパンに膨れてしまいます。すると、膨れた脂肪細胞から炎症性物質が放出され、体の組織に炎症が起きます。 特に問題なのは、肝臓に内臓脂肪がつく“脂肪肝”です。脂肪肝になると、肝臓が常に炎症を起こした状態になります」 そもそも肝臓には、 ①代謝 ②エネルギーの貯蔵 ③解毒 ④胆汁の生成 という4つの役割がある。 「脂肪肝になって肝臓が炎症を起こすと、この4つが十分にできなくなってしまいます。わかりやすく言うと、冷蔵庫に物をパンパンに詰め込むと冷やす機能が落ちてしまいますよね。脂肪肝もそれと同じで、肝臓の機能が正しく働かなくなるのです。 脂肪肝になると肝臓に蓄積された中性脂肪が血管にも流れ出るため、血管を狭めて詰まらせやすくします。その結果、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高めます。また、脂肪肝が進むと、肝硬変や肝臓がんなど深刻な病気につながることもあります。さらに、脂肪肝の悪影響はそれだけではありません。 体には副腎という臓器があり、炎症を鎮めて修復させるステロイドが生成されます。このステロイドによって各臓器や器官の炎症が抑えられるのですが、肝臓が炎症を起こすとステロイドが肝臓で優先的に使われます。そのため、ほかに修復が必要な臓器にステロイドが回らなくなります。 肝臓に限らず、ほかの臓器に内臓脂肪がついてもこれと同じことが起きます。つまり、内臓脂肪が増えると、体内が傷ついているのに、修復する道具が不足した状態になるということ。これが続くと、さまざまな臓器や器官が弱り、深刻な病気を招くのです」