優れたアイデア産出法「ブレインストーミング」。その効果を最大限に発揮するために守るべき<四つのルール>とは
◆「まとめて話す」はアイデアを出す目的には向いていない ところで、とかくグループで話し合いをする場合には、自分の順番が回ってきた時に、つい、一度にまとめてあれもこれも言ってしまうということはないでしょうか。 会議などでよく見かけるのは、全員が平等に発言できるようにとの議長の配慮から、席の並びなどで発話の順番を決めて、その順に意見を言っていくという方法です。 実は、このようにまとめて多くのことを一度に話すというスタイルは、グループで互いに刺激し合いながらアイデアを出すという目的には、あまり向いていません。 以前、教師教育の演習の中で、各メンバーが自分のアイデアをまとめて話す場合と、交替しながら少しずつ話す場合とで、アイデアの出方を比較したことがあります*2。 三人ずつのグループを作り、学生がもっと熱心に勉強するよう仕向けるにはどうすればよいかを、教師の視点に立って考えアイデアを出すという課題のもとで、学生たちに話し合ってもらいました。 すると、一人ひとりが自分の考えをまとめて一度に話しているグループよりも、頻繁に発話交替を行っているグループの方が、グループ全体として、解決につながる多くのアイデアを産出する傾向がありました。
◆交替して話すことで発想は刺激されて活性化する 話し合いの中では、他のメンバーのアイデアに触発されて、自分も新しいアイデアを思いつくという効果があります。また、他者のアイデアをさらに改善したり、自分の考えと融合させたりすることもあるでしょう。 発話交替を小まめに行っていると、こうした効果が出やすくなります。 一方、一人ひとりがたくさんの内容を一度に話すと、そうした相互作用が生じにくくなるのでしょう。 せっかくグループで話し合うのであれば、各人が延々と話すのではなく、どんどん交替して話すことによって、参加者それぞれの発想が刺激され、活性化すると考えられます。 ーーー *1. Osborn, A. F. (1953) Applied Imagination: Principles and procedures of creative problem solving. New York: Charles Scribners Sons. *2. Fujihara, N., & Sannomiya, M. (2002) Does turn-taking behavior in a dialogue facilitate idea generation in learning? International Journal of Learning, 9, 1215-1220. ※本稿は、『メタ認知』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
三宮真智子