家電のIT化が生み出す脅威、「自宅が乗っ取られる時代」は来るのか
これまで、ネットセキュリティといえばパソコンやスマートフォンを保護する目的で行うものでしたが、これからは自宅そのものを守ることを考える時代が来るかもしれません。今では自宅のセキュリティは主に空き巣などの窃盗対策を目的に行われますが、自宅はインターネット経由でも財産や情報の窃盗や乗っ取りといった脅威にさらされる危険性が高まっているのです。今回は、自宅用ネット機器を巡る現状と課題についてまとめます。
ネットに接続する個人用デバイス、2020年には世界で126億個に
様々なデバイスがインターネットに接続されて便利になるという「IoT(Internet of Things)」という考え方が世界的なテクノロジーの潮流を生み出して以来、ネットに接続する個人消費者向けデバイスは多様化し、その数を増やしてきました。代表的なものでは、エアコン、照明、テレビ、防犯カメラなどの家電製品(スマート家電)、おもちゃや家庭用ゲーム機、オーディオなどのエンターテインメント、活動量計や体組成計などのヘルスケア機器など。2017年版の情報通信白書によると、これら個人向けネット機器は世界全体で2020年に126億個(パソコンやスマートフォンを含まない)に達すると見込まれています。 特に、声だけで家電を操作したり様々なネットサービスを利用したりすることができるスマートスピーカーは、Googleの「Google Home」、Amazonの「Amazon Echo」、LINEの「Clova」が日本国内でシェアを争っており、Appleが米国やイギリスなどで今年2月に発売した「HomePod」を日本展開するかにも注目が集まっています。欧米や中国、シンガポールに拠点を置く調査会社Canalysによると、スマートスピーカーの普及台数は2020年にグローバルで2億台を超えると見込んでいます。 こうしたスマート家電やスマートスピーカーの増加に対しては、不動産業界や電力会社、ガス会社などの生活インフラを提供する業界も注目。例えば、住宅メーカー大手の大和ハウス工業は、同社が施工する戸建住宅に「Google Home」を自宅内の家具や家電を操作する基盤として組み込むという「Daiwa Connect」を2017年に発表しており、自宅内の様々な機能・機器をネットで制御するという“スマートホーム”という考え方は、今後一層拡大していくものと思われます。