家電のIT化が生み出す脅威、「自宅が乗っ取られる時代」は来るのか
民泊時代の到来は、新しい脅威を生み出す
ここで気になるのは、自宅の鍵にスマートフォンを活用する「スマートロック」は安全なのかという疑問です。日本国内のベンチャー企業が開発しているスマートロックは、自宅の玄関扉にある鍵に通信機器を取り付け、ユーザーのスマートフォンのNFC(非接触型チップ)やBluetoothをカードキーのように使用して鍵の開閉をします。基本的な操作はスマートフォンとスマートロックの直接通信によって行われますが、中には家庭用ネットワークを使用してスマートロックを遠隔監視できるものもあるため、このようなモデルは他のネット機器と同様の脅威に遭遇する可能性があります。 山本さんによると、海外ではネットワーク監視しているホテルの客室マスターキーがハッキングされたという事例もあるそうで、犯罪のノウハウが確立すると脅威になるのではないでしょうか。「自宅が乗っ取られる危険性は今後高まっていくのではないでしょうか」と山本さんも警鐘を鳴らします。様々な機器をネットワークにつなぐとスマートフォンによる遠隔管理やスマートスピーカーによるハンズフリー操作など様々な利便性が実現できる一方で、そのネットワークに悪意のある犯罪者が侵入すると接続されたすべての機器が勝手に操作される脅威に晒されてしまうのです。 特に、マンションの空き室など個人の住宅を宿泊施設として提供する「民泊」が本格的にスタートしたことで、利用者に提供する鍵や利用者の管理方法としてスマートロックは急速に普及することが考えられます。民泊仲介サービス大手の「Airbnb」が内閣府規制改革推進会議に提出した資料によると、民泊の届出制度が始まった今年6月15日時点での届出件数は3728件。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに民泊実施住宅の数は更に増加することが考えられ、ネットワークセキュリティの点からの対策は重要な課題と言えるのではないでしょうか。