<サッカー>U-23日本代表のリオ五輪切符獲得は難しい?!
今夏のリオ五輪出場をかけたアジア最終予選を兼ねた、U‐23アジア選手権が、カタールで開幕。グループBのU‐23日本代表は、今日13日、難敵のU‐23北朝鮮代表戦を迎える。 出場16ヶ国がわずか3枚の五輪切符を争う過酷な戦い。U‐23タイ代表、U‐23サウジアラビア代表を含めたグループBで2位以内に入り、さらに8ヶ国が進む一発勝負の決勝トーナメントで3位以内が出場条件だ。 1996年のアトランタ五輪から5大会連続で五輪出場している日本だが、今回に関しては、不安材料ばかりが目につく。決して最終予選突破は簡単ではない。 手倉森誠監督のもとで2年前にU‐21代表として発足したチームは、2014年1月のU‐23アジア選手権、同年9月の仁川アジア大会と連続してベスト8で敗退している。その間、主軸を務める選手も所属クラブで出場機会を得られない状況が続いた。 加えて、最終予選の開催方式が従来のホーム&アウェー方式からセントラル方式での集中開催に変更された。日本が苦手としてきた中東の地で、準々決勝まで、すべて中2日の強行日程で戦う。フィジカルとメンタルの両面で異変が生じても、決して不思議ではない。 アトランタ五輪出場を決めたアジア最終予選を、今回と同じセントラル方式(マレーシア)で戦った経験をもつ元日本代表FWの城彰二氏は「予選突破は決して簡単ではないと見ている」と危機感を募らせる。 「5大会連続で五輪出場権を勝ち取っているが、楽勝で予選を抜けてきたわけではない。五輪予選には独特のアウェーの雰囲気があるし、プレッシャーに飲み込まれたまま力を出し切れないこともある。しかも、このチームにはピッチ上でのコミュニケーション不足を感じる。強いリーダーシップを取れる選手が不在だ。ピッチ上でのコミュニケーション不足は、連携や判断というものを鈍らせてしまう」
グループリーグの初戦で対戦する北朝鮮は、直前になっても徹底したカーテンが敷かれ、不気味なオーラを放っている。昨年の東アジア大会で、1ゴール、1アシストを決めた長身のFWパク・ヒョンイル(22) がメンバーから外れているが、6時間前まで変更可能なため、出てくるのではないかという噂もある。 チームの土台となるのは、2010年のU‐16アジア選手権準決勝、2014年のU‐19アジア選手権準々決勝でともに日本を破ったメンバーだろう。3戦全敗に終わったW杯南アフリカ大会を境に、国を挙げて育成システムを強化。有望株を積極的に中国や欧州へ留学させ、所属クラブよりも代表チームでの活動を最優先させて長期合宿を行い集中的に鍛え上げられてきた北朝鮮の「黄金世代」は決して侮れない。今大会を見据えてカタールでも強化試合を組んでいる。 フィジカルの強さと闘争心を前面に押し出し、日本が不得手とするロングボール攻撃を仕掛けられれば不測の「事故」が起こりうる。高さと強さを兼ね備える186cmのセンターバックコンビ、岩波拓也(ヴィッセル神戸)と植田直通(鹿島アントラーズ)には、一歩も引かない強靭なメンタルも求められる。 16日のタイ戦をはさみ、19日に対峙するサウジアラビアも警戒を要する相手だ。前回のU‐23アジア選手権では準優勝。日本が完敗を喫したイラクと互角の戦いを繰り広げた。 紅海を隔てて南スーダンと隣接する土地柄からか、身体能力の高いアフリカ系をルーツにもつ選手が多いチーム構成はA代表と変わらない。パワーとスピードを兼ね備え、中東での開催とあって存分に力を発揮できる。伝統でもある縦に速いサッカーにはかなり苦しめられるはずだ。 グループリーグを勝ち抜けても、決勝トーナメントでは、 この世代で最強のイラク、2番手の韓国が待ち受ける。この2チームがグループCで同組となったことで、日本は準決勝まで対戦しないが、幸運ととらえることはできない。鬼門となっている準々決勝で対戦する可能性があるのもイラン、カタール、中国など一筋縄ではいかない相手ばかりだ。