団結の象徴、人気歌手起用 五輪開会式の芸術監督ジョリ氏
【パリ共同】パリ五輪の開会式は夏季大会史上初めて競技場外で行われ、セーヌ川を舞台に斬新な演出が評価された。芸術監督を務めたトマ・ジョリ氏は27日の記者会見で「分断は政治の面でもうたくさんだ。新型コロナウイルス禍で誰もが家で孤立した。人々を団結させる何かが欲しかった」と述べ、愛やインクルージョン(包摂)をテーマにつくった独創的なショーの意図を語った。 象徴的だったのはフランス語圏で最も人気がある歌手の一人として知られる西アフリカ・マリ系のアヤ・ナカムラさんの起用だった。2月下旬にフランス誌がナカムラさんの式に参加する可能性を報じると、極右から「フランス的ではない」と猛反発を受けた。それでもジョリ氏は意に介さず、移民社会の多様性を訴える演出でナカムラさんを登場させた。「人々は(双方が)別々だと考えるが、そうではない。交ざり合うことで美、創造性、分かち合い、愛が生まれる」と強調した。 開会式の最終盤は難病を抱えていた世界的歌手のセリーヌ・ディオンさんがシャンソンの名曲「愛の讃歌」をエッフェル塔の中腹で歌った。