「どうあるべきか」を追求し、価値を再定義する。SUBARUと小川秀樹氏のコネクティッド領域での挑戦
SUBARUの流儀と自分自身のやりがい
DD:そうした再定義がコネクティッド領域でもできる可能性がある、ということですね。 小川:はい。その可能性はありますし、そうした視点で僕自身も考えていかねばと思っています。それに、独自性が強みという当社のポジションは、非常に有利です。 SUBARUはもともと富士重工業という名前の会社で、同社の前身は中島飛行機という飛行機メーカーでした。飛行機だからこそ、乗せた従業員を絶対に無事に戻すというのが至上命題だったわけです。そうしたフィロソフィーが現在のSUBARUにも受け継がれていて、安全というのはもちろん、「強い意思」が中心となってクルマづくりが行われています。つまり、業界のトレンドに左右されるのではなく、「SUBARUとしてやるべきことは何か?」を一番に考えることができ、それが具現化して独自性を作り上げているんです。そういったスタンスに、僕自身も強いシンパシーを感じています。 DD:SUBARUと小川さん自身に、共通の哲学があるのですね。 小川:「どうあるべきか」を突き詰めてモノを作れるのは、素晴らしいことだと思うんですよね。結果、売れなくとも……とは言えませんが、SUBARUには「SUBARUで何ができるのか?」をひたすら追求する流儀がある。ここに当社の良さと、自分自身のやりがいが詰まっていると感じます。 たとえば、当社の代表的な技術であるアイサイト(ステレオカメラを使った運動支援システム)は、限られた少ない技術者から始まり、その熱い想いとこだわりで、いまのSUBARUにとって欠かせない技術になりました。実現までの道のりは紆余曲折あり、苦労が絶えなかったと聞いていますが、安全性に関する素晴らしい技術で、技術者の熱意を会社側が受け入れた好例です。人のためになる可能性を持ったプロダクトに挑戦することを、SUBARUは否定しないと感じています。僕自身もそういう仕事がしたいですね。 DD:社内イノベーションを次々に起こしてきた小川さんだからこそ、できることがありそうですね。 小川:エンジニア、データアナリスト、マーケティングなどといった僕のこれまでの経験を活かすと、できそうな施策や技術の裏側のシステムやデータの流れを描けるんですね。ゆえに、表面的なアイデアに対してもバックエンドを想像し、実現性を評価することができます。これによって実現力を上げて実装までこぎつけることができているような気がしています。裏側を描けるからこそ、エンジニアリングのようなことができているのかしれません。システムが良いほうにいくよう、突き詰めて考えるのが好きなんです。 DD:コネクティッド領域でも、イノベーションを期待しています。 小川:ちゃんとお客様の元に届いて、お客様の課題を解決できるところまでが企画の責任だと思っています。アイデアは出すより実現のほうが難しい。そこを突き詰めていけば、コネクティッド領域においても、自分が何をすべきなのかという答えを見つけられそうです。 Written by 島田涼平 Photo by 三浦晃一
島田涼平