子育ての「脱・紙地獄」! 産後2カ月までの書類は90枚以上。デジタル化で夫婦間の情報格差の解消にも【東京こどもDX会議リポート】
産後2カ月までに受け取った書類は90枚以上だった
続いてのゲストスピーカーは、現在9カ月の子どもを育てている株式会社ハピキラFACTORY代表取締役の正能茉優さん。正能さんは妊娠~出産後2カ月までに、妊娠・出産・保育園の手続きのために受け取った書類を並べた写真をスライドで提示しながら「脱・紙地獄」をテーマに話しました。 「妊娠~出産後2カ月までに、妊娠・出産・保育園の手続きのために、90枚以上の紙を受け取り、合計7回役所に行きました。写真は、妊娠届の提出時に受け取った46種類の書類です。この中には、提出すべきものと、いわゆるお知らせというものが混在していて、まず内容を把握して理解するのにめちゃくちゃ時間がかかりました。 それに加えて予防接種です。うちの子どもの場合は2023年の10月から3月までの間に全部で5回ワクチンを打つ必要がありました。ワクチンの接種券は郵送されてきましたが、全5回のうち4回目の接種券だけはなぜか別便で送られてきました。そのことを私が把握できておらず、病院に行ったけれど接種券がなくてワクチンが打てなかったハプニングがありました」(正能さん) 正能さんは、「妊娠・出産・子育て期の手続きやお知らせの理解・管理・記入・提出が難しくてかなり面倒」と話し、資料はていねいだが今すべきことがわかりにくい、と指摘しました。 「各資料はとてもていねいに作られていますが、情報が多く、今すべきことがわかりにくくなってしまっていると感じます。妊娠・出産・子育て期に配布された90枚以上の書類は、色・サイズが違う紙が混在し、提出書類とお知らせが混在し、今使う書類と数カ月後に使う書類が混在しています。さらに、妊婦一般健康診査受診票・予防接種予診票などは、同じ内容を繰り返し記入しなくてはなりません。 今の子どもの月齢によってすべきことが抜けやもれがなくわかり、アクションにつながるようなシンプルなしくみがないことが課題だと感じます」(正能さん) 正能さんは必要な情報と、取るべきアクションをわかりやすくするためには、デジタル化とともに紙媒体も併用するといいと提案しました。 「『脱・紙地獄』のためには、紙の書類をアーカイブ化してスマホやPCでキーワード検索を可能にする、タイムスタンプを埋め込みプッシュ通知をするといった対策で、情報を管理しやすくなるのではないでしょうか。 そのデジタル化と合わせて、マンスリーはがきを送付してもらうのもいいかもしれません。はがきを見れば今月やらなくてはいけないことがわかると、子育て当事者の混乱が少なくなると考えています」(正能さん)