電動ハイパーカー「バティスタ」と「B95」が上陸 再起をかけるピニンファリーナの第2章
B95はわずか10台のみを生産
今回行われた、ピニンファリーナのジャパンプレミアイベントでは、バティスタ チンクアンタチンクエとともに、B95と呼ばれるオープンモデルも披露された。B95とは、イタリアのオープンカーではよく用いられるバルケッタの頭文字Bと、来年がピニンファリーナにとって創業95周年にあたることを意味する数字を組み合わせたネーミングだ。ワールドプレミアは、2023年8月。モントレーカーウイークのエクスクルーシブイベントを経て、直後の「ザ・クエイル モータースポーツギャザリング」で一般公開された。 生産台数はわずかに10台。このような限定車の常で、そしてさらにピニンファリーナというブランドのバリューを考えれば、すでにソールドアウト、あるいはそれも時間の問題というのが実際のところだろう。 B95のスタイルは、やはりバルケッタという言葉が最もよく似合う。ピニンファリーナがそのデザインで狙ったのは、オープントップでのドライビング体験を究極の域まで楽しませること。フロントスクリーンは世界初となる電動調整式のポリカーボネート製で、走行中に高速で流れる空気はキャビンの上方を滑らかに流れる仕組みになっているという。 この究極のオープントップともいえるモデルで、オーバー300km/hを可能にする加速を体験してみたい。そのようなカスタマーは世界に多くいるかもしれないが、前で触れたとおり、B95のステアリングを握ることができるのは世界でわずかに10人。しかも邦貨にして約7億円という支払いができる者に限られる。 B95のメカニズムは、基本的にはバティスタのそれと共通だ。すなわちリマック社の開発によるエレクトリックモーターとバッテリーを搭載し、最高出力1903PSを発生する。リチウムイオンバッテリーの容量も120kWhと共通の値。定格270kWのDC急速充電器があれば、25分で20%から80%までの充電ができるという。大胆にルーフやウィンドウを取り払ったことで、バティスタとは異なる独自の世界を体感させてくれるだろう。ピニンファリーナはまた歴史に残る一台を世に送り出すことができたようだ。 (文=山崎元裕/写真=ピニンファリーナ/編集=櫻井健一)
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