相続したマンションの名義変更の手続きは? 必要書類から費用、かかる税金まで解説
2. マンション相続、名義変更の流れ
マンションを相続した場合、次のような手順が必要となります。 2-1. 遺言書を確認する 亡くなった人(被相続人)が、生前に遺言書を作成していたか否かを調べます。遺言書の中でマンションを承継させる相続人を指定していれば、死亡と同時にその相続人がマンションの所有権を取得することになります。 遺言書は、①本人が自筆しどこかに保管しているケース、②公正証書遺言を作成しているケース、③本人が自筆した遺言書を法務局で保管してもらっているケースがあります。②は公証役場、③は法務局に調べてもらうことができますが、①の場合は自宅や貸金庫など心当たりのある場所を探すことになります。見つけても勝手に開封せずに、家庭裁判所で開封しましょう。 2-2. 相続人・相続財産の調査 遺言書で相続財産の承継方法が定められていない場合には、相続人全員で話し合って決定することになります。その前提として被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍を取り寄せて相続人を特定するとともに、相続財産がどれだけあるかを調査しなければなりません。 不動産の場合には、固定資産納税通知書に所有不動産が記載されているのでそれを参考にしましょう。市区町村ごとに個人が所有している不動産をリストアップしたもの(名寄帳)を発行してもらえるので、亡くなった人のゆかりのあった市区町村役場に請求してみるのもよいでしょう。 なお、2026年2月2日から、法務局にて個人が所有する不動産をリストアップしてくれる「所有不動産記録証明制度」がスタートします。これにより、亡くなった人が所有していた不動産を漏れなく特定しやすくなるでしょう。 2-3. 遺産の分け方を決め、遺産分割協議書を作成 相続人全員が話し合いのできる状態になり、相続財産もすべて判明したら、誰がどの財産を承継するかを相続人全員で話し合います。これを遺産分割協議といいます。また、この協議の結果を書面で作成したものを「遺産分割協議書」といい、相続登記の申請を含め各相続手続きの際に印鑑証明書とセットで提出を求められます。 2-4. 相続税の申告と支払いをする ある程度の相続財産がある場合には、相続税の申告をしなければなりません。相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内」となっています。ただ、相続税は控除される額が大きいため、相続税申告の対象外になる方も多いです。 相続税の控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。例えば、相続人が配偶者と子供2人であれば、3000万円+(600万円×3)=4800万円となります。つまり、相続財産が4800万円を超えない場合には相続税の申告が不要となるわけです。 ほかにも「小規模宅地等の特例」といって、亡くなった人の自宅の相続税評価額を最大8割軽減できる制度などもあります。 2-5. 名義変更(相続登記)をする 相続登記には、遺言書に基づく相続登記、遺産分割協議に基づく相続登記、法律で定められた相続分割合でする相続登記(法定相続登記)があります。 法定相続登記は、相続人全員で話し合う必要はなく、相続人のうちの1人が全員分の相続分を登記申請することができます。法律で定められた相続分なので、相続人の誰かが勝手に登記しても他の相続人には不利益にならないからです。 ただし、共有状態になっている不動産を売却するには全員が関与しなければなりません。売却しない場合には、将来的にそれぞれの持分にそれぞれ相続が発生することになり権利関係が複雑になるため、なるべく避けることをおすすめします。 なお、相続登記の義務化に伴い、相続人申告登記という制度がスタートしました。この制度を利用すれば、相続人であることを登記記録に残すことで、ひとまず相続登記を怠った場合の罰則を回避できます。