【おでんだしうどん】赤坂の繁華街で見つけた奇跡のような屋台で、おでんと酒に浸る:パリッコ『今週のハマりメシ』第168回
さて、そろそろラジオ収録に向かう時間だが、最後にどうしても味わっておきたい一品がある。「お出汁で作った〆のうどん」。なんと驚愕の300円だ。 すぐにやってきたうどんが、あまりにも自分好みのシンプルさでたまらない。麺は市販品だろうけど、しっかりとコシがあってうまい。やや厚切りの生のねぎが、熱々のだしに浸ってすこしずつとろりとしてくるのもいい。それらがほんのりと甘く上品なだしを味わうための媒介となり、すすればすするほどに幸福感が極まってくる。 特に東京都内においては、屋台そのものが絶滅危惧種的な存在。しかし、キッチンカーを使ったこういう営業のしかたもあるんだなというのは目から鱗だったし、なによりそこで飲む楽しさ、居心地の良さは、庶民が昔から慣れ親しんできた屋台の空気そのもののように感じた。 さて、そろそろラジオ局に、酒を飲みにいくか。 取材・文・撮影/パリッコ