ブログで「SM好き」の男性を探しだして再婚した「43歳専業主婦」を待ち受けていた「結婚生活」の末路
増加傾向にある「SM婚」
結婚を決めるもっとも大きな要素――、それは性的嗜好だとする男女が、今、静かに、深く、増えつつあるようだ。 【マンガ】3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」が見た「地獄」 今回、そんな性的嗜好の一致、互いにSM(サド・マゾヒズム)を求めたことをきっかけに出会い、結婚した男女に話を聞き、令和の時代における婚活と結婚後の現状について、前編<じつはいま「SM婚」が増えている…「SMに興味がある」と答えた女性の「驚愕の割合」>の記事に引き続きレポートしたい。 あくまでも記者が取材した限りだが、男女互いにSM嗜好を自認する人同士のカップルで結婚に至った人たちに5組の夫婦(事実婚を含む)に話を聞いてみた。 この5組中3組がネットを介しての出会いだった。残りの2組は、それぞれ、「職場の同僚の紹介で知り合い、交際が深まったタイミングで男性が性的嗜好をカミングアウトして」というケースと、「関西にあるSMラウンジの常連客同士でいつの間にか連絡を取り合うようになった」というものだった。 ネットで出会った3組のSM嗜好夫婦のうち、既存のマッチングサイトでの出会いというのは意外にも1組だけだった。残り2組が出会ったツール。これこそがSM嗜好の男女での出会いでは、今、もっとも活用されているものといえるだろう。 ブログである。彼、彼女らSM嗜好の人が書くブログでは、みずからの嗜好のみならず、望んでいる相手の条件――SM嗜好でのそれに限らず、日常での職業、大雑把な住所地、趣味、価値観といったもの――を事細かく記す。あるいはその記されたブログを読み、メールやメッセージ機能を用いて連絡を取り、しばしのやり取りの後、「会う、会わない」、「交際する、しない」……といった段階を踏み、結婚に至ったという。
『わたし、SMできるやん』
「別にSM婚だからといって、特別なことはないです。結婚となると生活ですから……」 こう語るのはサキさん(43)だ。関西の生まれ育ち。身長165cmと長身の部類。スレンダーなルックスはさぞ人目を引くだろうと思わせる。関西では準難関私立大学として知られる「産近甲龍」の経営学部を卒業。新卒で地元メーカーに入社。以来、フルタイムで働き続け、初婚時、これを切っ掛けに家庭へ。離婚後、再就職。再婚後、再び専業主婦となる。 32歳のときにした最初の結婚では夫はノーマルだった。性的嗜好だけではなく、価値観の相違はどうにもならず。5年の結婚生活にピリオドを打つ。 「離婚して、真っ先に思ったのが、『わたし、SMできるやん』でした――」 子どもの頃から、時代劇やスパイ映画などで縛られている人や監禁されているシーンをみるとドキドキしたというサキさんは、大人になってからそれがSM嗜好、そのなかでもM嗜好であると自覚した。 だが、SMというものは、それこそアダルトビデオやネットの向こうの話で、自分の暮らしている世界とは別世界のものだと思っていた。とはいえSMという性行為に興味はあった。だが、そうした嗜好を持つ相手が周囲には居ない。そうこうしているうちに最初の結婚をした。これでSMを経験する機会は潰えたかに思えた。 「でも離婚した以上、もう私は誰に気兼ねすることもありません。当時、年齢は37歳。まったくの未経験者である私がSM世界に飛び込むには最後のチャンスではないかと……」