ブログで「SM好き」の男性を探しだして再婚した「43歳専業主婦」を待ち受けていた「結婚生活」の末路
堪忍袋の緒が切れた
「交際時からちょっと気にはなっていたのですけどね。でも、さすがに結婚して一緒に暮らすようになり、1か月、2か月……、と日を重ねていくうちに、私の方が先にブチ切れました――」 ある日のこと。夕飯が終わりサキさんが食器を洗っていたら、夫がテレビを観ながらビールを呑んで寝転んでいた。夫婦なのだ。食器洗いを手伝うとか、後で風呂に入ることがわかっているのなら、風呂くらい入れてくれてもいいだろうとサキさんは思う。 「言えば、家事も手伝ってくれます。でも、言わなければ何もできないし、しない。これだと家庭では困ります」 サキさんは、夫にみずからの思い、考え方をぶつけた。幸いというか前の夫とは違い、価値観の違いを埋めようと努力はしてくれる。いつしか互いに暗黙の了解で家事の役割分担も決まっていった。 「今でも、私がひとつひとつ、『食器は洗ってふきんで拭いてそれからここに片づけて』と細かく指示を出さなければいけない状況は変わりありません」 サキさん曰く、入籍後5年を経た今、出会いの切っ掛けだったSMという性的嗜好とここから連想される日常は、完全に過去のものとなり、今ではごく普通の夫婦として、日々、些細な揉め事はあるものの、静かに、穏やかに暮らしているそう。 「SMというかセックスをしなくなったんです――」 サキさんによると、更年期を迎え、性的欲求が結婚前後2、3年に比べ、随分と減退した。かつては気兼ねなく性を楽しめたが、いわゆる性交痛が酷くなってきた。行為の後、会陰部が裂けることもしばしばだ。
セックスを楽しめない
いつしか性を楽しみたいという気持ちよりも、行為後の痛みと不快感のほうが気になるようになってきた。セックスはもちろん、SMなどとてもする気にはなれない。 「生理不順、周期の乱れもあり、婦人科の医師に受診したのですが……」 医師によると、このサキさんの症状は更年期の女性によくあるもので、男性器挿入時、膣内の潤いが不足していることによるものだという。 そのため市販されている潤滑ジェルとかゼリーと呼ばれるこれらを用いる。あるいは、こうした症状の原因は女性ホルモンの低下によりものなので、これを補充する「女性ホルモン補充療法(HRT)」を行うことで、症状の改善を目指すのが一般的なのだとか。 「そこまでして性を楽しもうという気が起きないのです。もちろんお医者様による治療なので安全だと思うのですが、『ホルモン補充』というのが、正直、ちょっと怖いというのもあります」 医師によると、確かに副作用として不正出血や胸の張り、むかつき、体重増加などが報告されているが、これらはホルモン補充の量や飲み薬から貼り薬への変更で改善できるという。 また、巷よくいわれる乳癌になる可能性についても現在では解決済みで、さほど気にするほどのものでもないそうだ。 だからといって、「では、早速、潤滑ジェルを用いて」「近くのレディースクリニックに行ってホルモン補充療法の相談に」とは、なかなかいくものではないだろう。 それに、そもそもサキさんが言うように、性交痛に悩む女性の多くは、「そこまでして性を楽しもうという気が起きない」からである。