ブログで「SM好き」の男性を探しだして再婚した「43歳専業主婦」を待ち受けていた「結婚生活」の末路
ごっこ遊びではなく本気で
こうして、まずは婚活ならぬ“SM活”をはじめたサキさんはネットで情報収集。その活動中、強く意識したのが「SMという性行為だけの相手探しはやめよう」ということだ。 「SM世界といえば、どうしても主人と奴隷とかそういうワードが連想されます。いろいろ言っても、要は大人の『ごっこ遊び』ですよね? そのごっこ遊びだけをするお相手というのはちょっと寂しいなと。結婚も視野に入れた相手、それでいて性的嗜好はSM――、そういう人を探すことにしました」 こうして数あるS嗜好の男性が綴るブログを検索。嗜好が合う、それでいて結婚も視野に入れていると思われる男性に何人かにコンタクトを取った。返信が来た3人の男性とメールでやり取りすること2か月。この時点でひとりの男性に絞り込まれていた。 「2か月近く、2日に1度はメールでやり取りするようになると、自然と電話で話をするようになりました。写真も交換して互いに好意を持っていたので、会ってもいいかなと……」 初対面は大阪市内のとある書店内だった。この日、挨拶もそこそこに、ふたりは男女、SとMという性的嗜好有りきの恋愛関係に入った。 「会うまでに電話とメールで、もうお互いにお互いのことは知り尽くしているという状態だったので。初対面の日は新たな恋愛の始まりでもありとても楽しかったです」
暗雲が立ち込める結婚生活
1年間、週末ごとにデートを重ねた。そして翌年、初めて会った日に入籍する。互いに再婚同士だったので、とくに式など行わず、互いの親類縁者、友人を集めて行った食事会を披露宴代わりとした。その際、集まった人たちには、「友人の紹介で出会った」ということで押し通すことにした。 「まさか、ネットで出会った。それもSMのブログで……、とは、いえませんから」 こうして始まった結婚生活は、互いの性的嗜好が合致しているので、その面での不満はない。だがサキさん曰く、日常生活では、「前の夫以上に、価値観の相違が著しい」のだとか。 「価値観といっても、別に宗教とか哲学、支持政党がどうの世界観がどうこうという話ではないのです。洗濯物をどう畳むか。食器を洗う。洗いカゴに乾いた食器が置いてあれば、収納に片づけて、あらたに洗った食器を洗いかごに入れる――とか、そういうごく些細な日常での諸々です」 再婚した夫は、料理はそこそこ上手。掃除もきちんとする。「チリひとつない綺麗な部屋」が好みだという。 だが、そう夫本人が言う割にはサキさんの目には片づけ下手にしかみえない。服や靴下を脱いだら汚れているにもかかわらずタンスの中にしまい込む。 食器、本などなど、家にあるものを使ったら、元あった場所に戻すということをしないというかできない。 家庭で出るごみの分類も苦手だ。それでいて積極的に家事を手伝おうとしないからタチが悪い。