[特集/CL&EL新時代 03]15人の日本人選手が参戦 サムライたちのCL&EL
上田は好機を生かせるか チェイス・アンリは進化中
チームに欠かせない主力とまではいかないが、試合出場のチャンスを得ているのがフェイエノールトの上田綺世、シュツットガルトのチェイス・アンリ、ディナモ・ザグレブの荻原拓也だ。上田はチームのエースであるサンティアゴ・ヒメネスの負傷もあり、第2節ジローナ戦で先発している。チェイス・アンリは2試合に途中出場、荻原は第1節バイエルン戦に先発し、CL初ゴールを奪っている。 ヒメネスが離脱したことで上田にかかる期待は大きいが、現状はまだ力を発揮できていない。前線でボールを受ける動き、身体を張って足元に収めるシーンなどは出てきたが、エースがいなくなったいま求められているのは得点である。ジローナ戦ではチームがPKを得たとき、キッカーを務めた。力の入った低いシュートでゴールを狙ったが、相手GKの好セーブに阻まれてゴールはならなかった。 PKを蹴るチャンスだけでなく、後半には絶妙なスルーパスを受けてGKと1対1になりかけたシーンがあった。しかし、ファーストタッチが微妙にズレたことで縦に抜け出すことができず、切り返してしまった。次の瞬間に戻ってきたDFにクリアされてCKになったが、本来なら縦に抜け出してズドンというプレイだった。 加入2年目を迎えたが、フェイエノールトではまだ本領を発揮できていない。国内の試合に加えて、CLで試合数をこなせるのは上田にとってポジションを得るチャンスとなる。目に見える結果(=得点)がほしいところだ。 チェイス・アンリはシュツットガルトⅡで評価を高め、3年目を迎えてトップに昇格した。その勢いを持続させ、CLでは第1節レアル・マドリード戦に途中出場し、ヴィニシウス・ジュニオールと対峙するなどいきなりハイレベルな経験を積んでいる。 リーグフェーズ第2節スパルタ・プラハ戦も途中出場だったが、ブンデスリーガではすでに3試合に先発フル出場している。どうやら、セバスティアン・ヘーネス監督はおもにリーグ戦でチェイス・アンリを起用し、CLでは途中出場という流れが続くかもしれない。ただ、チェイス・アンリは最終ラインのどこでも対応可能なため、汎用がきく。まだ20歳であり、経験を積むことでどんな選手になるか──。大きな可能性がある選手だ。 ディナモ・ザグレブの荻原は第1節バイエルン戦で強烈なインパクトを残した。1-3で迎えた後半立ち上がりの50分、左サイドをドリブルで突破し、ヨシプ・ミシッチとの大きなワンツーで最終ラインの裏に抜け出し、左足シュートで飛び出したマヌエル・ノイアーの股を抜いて1点差とするゴールを奪っている。 このバイエルン戦では[4-2-3-1]の左サイドアタッカーで先発し、国内リーグでは4バックの左サイドバックで1試合に先発している。バイエルンには2-9で大敗したが、続く第2節モナコ戦は2-2の引き分けだった。荻原の出場はなくここでの日本人対決はならなかったが、12人のサムライが参戦するCLでは今後も日本人対決が控えている。荻原がプレイするディナモ・ザグレブも、第7節に冨安健洋がいるアーセナルと対戦する。CLでこうした対決が普通に見られる現実が、日本サッカーの成長を証明している。