アギーレ後任監督候補は「モチベーター」
八百長に関与したとする告発状が裁判所に受理されたことを受けて、代表監督の活動に支障をきたすとして契約を解除されたハビエル・アギーレ前監督だが、八百長疑惑騒動に揺れたアジアカップの期間中も「チーム内の雰囲気は非常によかったと聞いている」と前出の水沼が続ける。 「トレーニングメニューや立ち居振る舞いなどを含めて、さまざまな手法でチーム内の士気を高められる。その上で日本人がもつ技術を最大限に生かしながら、『縦への速い攻撃』をプラスできる監督が理想となるのではなか。いま現在の世界のサッカー界を見渡してみると、やはり縦への速攻がないと相手に怖さを与えられない。本田圭佑にしても、前線でボールを受けるために走力をより押し出すようになっている。世界の最前線でプレーしている選手が感じていることを、日本代表も取り入れる必要がある。縦パスは狙いを定めるコースが狭くなるし、必然的に相手に奪われるリスクも高まるが、それでもボールをキープしているだけではアジアのなかでもやがては勝つことが難しくなるかもしれない。アギーレ前監督は縦への意識づけを徹底していたし、実際にMF柴崎岳あたりには常に前を見る姿勢が生まれてもいた。ボールと相手を横に動かしながら常に縦を意識して、いいポジショニングから素早く縦に入れられるようになればもっといいサッカーに、相手にとっては怖いサッカーになってくると思う」 JFAの大仁邦彌会長が「契約したこと自体は間違いではなかった」とアギーレ前監督の手腕を高く評価していることと、ハリルホジッチ氏を筆頭に「モチベーター」としての共通項をもつ3人の後任候補に絞られたとされる現状は決して無関係ではないだろう。 3月末に行われる国際親善試合の指揮に間に合わせるか、最低でもスタンドで観戦してもらう状況を実現させるのならば、フリーのハリルホジッチ氏との交渉が最優先で進められることになる。一時は混迷を極めた次期監督選定人事はヨーロッパか、あるいは南米かといった従来の枠組みや経歴を超越して、新たに「モチベーター」をキーワードにしながら最終局面へと突入した。 (文責・藤江直人/スポーツライター)