朝市のおかあさんも英語で…大都市パワーに頼らず45万人を呼び込む「飛騨高山」 外国人が「また来たい!」と痛感する納得の理由 #令和に働く
オーバーツーリズムの未然防止対策に取り組む
ただ、そんな高山市も「観光に対する住民意識の乖離」に強い危機感を覚えています。 高山市・市長公室東京事務所の永田友和所長によると、「市内において住民生活に大きく影響するようなオーバーツーリズムの問題は起きていないと考えていますが、そうならないような未然防止対策は必要でしょう。『住んでよし、訪れてよし』の持続可能な地域の実現を目指しており、そのためには、住民の方からの理解が大切です」といいます。 高山市では、観光庁の「持続可能な推進モデル事業」のモデル地区に指定されています。その事業を活用して、令和5年度に実施した市民アンケートでは、外国人観光客の急回復に伴うマナー問題や、交通渋滞などの課題が明らかになったとしています。 「外国人観光客それぞれが持つ文化・風習の違いも要因の一つと考えられますが、ごみの捨て方や信号無視、自転車の乗り方が危険であるなどの声も寄せられています」 そこで同市では、滞在中のマナー、ルール遵守を観光客に周知するための方策として、高山旅行で求められる旅行スタイル「TAKAYAMA STYLE(仮称)」の提唱を計画。「TAKAYAMA STYLE(仮称)」は、高山の美しい町並や自然が地域の住民によってしっかりと守り伝えられたことを理解いただき、観光客も一緒になって守っていただく、楽しんでいただきたいという思いを伝え、それによりマナーやルールに関する理解も深まることを期待しているとのこと。 永田氏は「高山は広いので、混雑を緩和し、観光客の回遊性を高めるためにも、中心部だけでなく、ぜひ観光客の方に訪れてもらいたい、素晴らしい観光スポットがたくさんあることをしっかり情報発信していきたいと思っています」といい、情報発信力を強化して観光客を分散させる構想を明かします。「特定エリアへの観光客の集中」という日本全体でみられる現象は、高山市内でも起きているようです。この問題は、地域の観光スポットや二次交通情報(周遊バスの利用促進等)の発信を強化することでの解消を見込んでいます。