毛沢東に並ぶ?習近平体制2期目、権威づけどこまで 5年に1度の共産党大会
習近平体制の2期目がスタートします。18日から開幕する中国共産党大会では、習氏の個人名を冠した政治理念が党規約に盛り込まれるのかなど、権力基盤がどこまで強化されるのかに注目が集まります。中国など東アジア情勢に詳しい元外交官の美根慶樹氏にポイントを解説してもらいました。
「ポスト習近平」はだれか?
中国共産党の全国代表大会が10月18日から開催されます。1921年に初の代表大会が開催されてから第19回目になります。この党大会(「全人代」は議会に相当する「全国人民代表大会」のことで党の会議ではありません)は5年に1回開催されており、毎回重要な決定が行われます。 2012年に開催された第18回大会(実際にはその直後の中央委員会総会)では、習近平氏が総書記に選ばれるとともに、6名の新政治局常務委員が決定されました。中国を率いる「トップ7」です。2012年以前、常務委員は9人でした。政治局常務委員は集団で指導するというのが建前ですが、実際には総書記の指導が優先し、その下で、6人の常務委員は宣伝、経済などそれぞれ担当があります。 今回の第19回大会では、習近平総書記と李克強首相以外の常務委員が定年(68歳)で退職することになっており、新たに5人が選ばれます。その中には、将来、習近平総書記が引退した後の指導者が含まれます。総書記は常務委員の中から選ばれると党規約で定められているのです。したがって、今回の党大会は、習近平政権の第2期の始まりであると同時に、次期体制への橋渡しとなるものです。
具体的な総書記候補は新しい常務委員発表の序列から推測可能です。さらに党大会の約5か月後に習近平氏が国家主席兼中央軍事委員会主席に再選されます。その際、副主席となる人物が、5年後に習近平氏の後継者として「国家主席」「党総書記」「中央軍事委員会主席」に選ばれる最有力候補となります。習近平氏自身もそのような経緯を経て現在の3ポストにつきました。 なお、習近平氏の任期を2022年後にも延長しようとする動きがあると一部に伝えられていますが、どこまで確実なことか不明です。 具体的には、さる7月、重慶市の書記(ナンバーワン)に就任した陳敏爾氏が習近平氏の有力後継者だと言われています。 一方、5年前に最有力候補と目されていた胡春華氏(現在は広東省書記)は、習近平氏が批判している共産主義青年団(共青団)の出身であるため不利な状況にあり、余計な問題を起こさないよう言動に注意しているとも伝えられています。共青団は本来「社会主義と共産主義について学習する学校であり、党の助手および予備軍である」とされ、実質的には党のエリート養成機関です。