東京五輪で五連覇を狙う伊調馨を待ち受ける“敵”
女子レスリングで五輪四連覇、来年の東京五輪での五連覇を目指している伊調馨(34)が、リオデジャネイロ五輪以来となる国際大会に出場する。その23日に中国・西安で開幕するアジア選手権へ向けた女子代表合宿が10日、取材陣に公開され、久しぶりに練習に取り組む伊調の姿を見ることができた。昨年末、川井梨紗子(24)との五輪 金メダリスト対決を制して全日本選手権に優勝したときは、「まだまだ戻せていない」とブランクの影響を口にしていたが、伊調は完全復活を遂げているのだろうか。 結論から言ってしまうと、どのくらい“五輪四連覇の伊調馨”の状態に戻せているのか、練習の様子からは分からなかった。それというのも、全体の練習にはほとんど加わらず、別メニューで田南部力コーチと基本をひとつひとつ確認するようなマット練習に多くの時間を割いていたからだ。 「今年になってケガが多くなってきているので」と別メニューでの合宿参加となった理由を話し始めた伊調は、“ベテラン”と呼ばれるほど長くなったレスリング歴によって起きている自分の変化を語った。 「1月に左、3月に右と両足首をケガしました。ベテランと言われる年齢なんですけれど、そのわりに、上手に練習の強度を調節できない(苦笑)。紙一重の練習をしないと勝てない世界でもあるから、今追い込まないといけないという思いがわき上がって練習の量や強度を上げてしまう。それが難しいところでもある。でも無理をすると今の両足の状態では疲労骨折につながるので、今日はスパーリングをしませんでした」 昨年12月に全日本選手権で優勝して2020年東京五輪への一歩を踏み出したものの、年を越してから、ケガによって練習を「やったりやらなかったりという生活」を余儀なくされた。ケガの回復も図らねばならないが、思うように動くことも新しいケガを呼び寄せそうで、恐ろしい。それでも、かつて五輪に挑んだときのような感覚を取り戻さねばならない。 「感覚を戻すために毎日、少しずつでもいいから相手に触ったり、打ち込みの時間を長くしました。激しくなくても、ゆっくり正確に、技の確認をするなど。全日本が終わってから今日までは、そういう部分に時間を費やしたと思います」