通所サービスを利用するときは性格や介護度に合った内容のものを【親を要介護にさせたくない】
【親を要介護にさせたくない】#19 要支援や要介護に認定されると、介護保険法に基づいた介護保険サービスを受けられる。その内容は「厚生労働省 介護サービス」のキーワードで検索できるが、最初に注目してもらいたいのが、施設などに出かけ「日帰りでサービスを受ける」、いわゆる通所サービスだ。 突然母が別人になった(4)真夏なのに「春」と答え、ここがどこかもわからない 通所サービスには要支援1から利用できるデイケアと、要介護1から利用可能なデイサービスの2つがある。どちらも9~15時ごろの利用で、自宅と施設間の送迎付き。健康チェックや昼食、入浴介助がセットになっていると考えればいい。異なるのは、デイケアが医師などの専門職が常駐する施設で生活機能向上のための機能訓練などを行うのに対し、デイサービスは自宅にこもりがちな生活の改善や高齢者同士の交流を図るという目的の違いだ。 要介護認定を受けたばかりの高齢者は自宅で暮らしているものの、かなり体力が落ちていると考えられる。足腰の弱さなどから自由に外出する機会が減っていたり、ひとりで自宅の風呂に入ることが難しいケースもよく聞く。家族としては、これ以上介護度が進まないようリハビリなどで健康維持をしてほしい。外出の機会を増やしてあげたい。安全な環境でお風呂に入ってほしい。そんな思いから通所サービスを勧めたくなるが、ひとつ注意点がある。 実は一般的な通所サービスは、集団でリハビリやレクリエーションを行うため、介護度の低い人は物足らなさを感じてしまい、年寄り扱いされたくない高齢者は拒絶反応を示しがちだ。スタッフが幼稚園児に語り掛けるような接し方をすることに嫌悪感を覚える人もいる。みんなと一緒にお遊戯的に何かをやるより、ひとりで黙々とマンツーマンで何かに取り組みたいとの思いを持つ人にとって、このような場は苦痛でしかない。 脊柱管狭窄症で要介護になった筆者の知人女性(85)もそのひとりだった。最初は一般の通所介護を利用したものの、自分より重い介護度の高齢者に合わせたリハビリメニューにすぐ飽きてしまい、自分がどんどん老けていく気分になった。そこでケアマネに相談したところ、ストレッチや筋力アップに特化した「リハビリ特化型デイサービス」を紹介された。小規模ながら街のトレーニングジムのような雰囲気があり、マンツーマンで専門的に指導してくれることが大いに気に入り「こっちのほうがずっと楽しいわ」と明るい顔になっていた。また、送迎付き、午前のみ・午後のみの短時間利用、昼食・入浴なしという選択肢があり、意識高い系の高齢者のウケがいいようだ。 (西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)