エアアジアのインド市場撤退! 「LCC戦争」敗北の理由とは何だったのか? 過去栄光の落とし穴を再考する
エアインディアの子会社となり消滅
エアアジアはインド市場の事情や内部対立に苦しんでいるなか、2020年にはCOVID-19が世界的に広がった。各国で移動制限がかかり、世界の航空市場は低迷し、エアアジアも例外ではなかった。 マレーシア本国でも国からの援助を受けることとなり、事業再編が不可欠な状況となった。この間に日本市場から撤退し、インドについても合弁相手であるタタに株式を買い取ってもらうよう交渉することになった。 その後、2022年にはタタ傘下のエア・インディアが、エアアジアの親会社であるキャピタルAからエアアジア・インディアの株式を買収した。2022年12月には、同社の名称を 「AIX コネクト」 に変更すると発表され、2023年10月31日をもって「エアアジア・インディア」のブランドは終了することが決まった。AIX コネクトもエア・インディアの子会社であるエアインディアエクスプレスと統合され、企業としての歴史に幕を下ろした。
その後のエアアジアグループ
コロナ禍が解消されて以降、エアアジアは再び東南アジアを中心に攻勢をかけている。まず、2022年にはカンボジアで現地企業と合弁でエアアジア・カンボジアを設立し、2024年5月にはプノンペンを拠点に就航を開始し、拡大を始めている。また、ベトナムやシンガポールでも子会社設立の計画がある。 長期的な計画では、東南アジア各地から中央アジア、欧州、アフリカなど現在は運航していない路線への進出も視野に入れており、特にアフリカ線では、2024年11月にクアラルンプール~ナイロビ直行便の就航が決まっている。 また、英国経由でニューヨーク、マイアミ、トロントなど北米東海岸への路線や、日本経由でサンフランシスコ、ロサンゼルス、バンクーバーといった北米西海岸への路線開設計画も存在している。これらの計画は、世界最大級のLCCネットワークを作るための一環だ。 しかし、ベトナムやシンガポールでの子会社の運行許可取得には難航しており、特にシンガポールでは三度申請しているが、いずれも却下されている。この状況に、エアアジアのトニー・フェルナンデスCEOは不満を抱いている。 日本とインドでの失敗を踏まえ、エアアジアが新規市場をどこまで拡大できるか、それとも失敗を繰り返すのか、同社の真価が問われている。