「更年期障害」の広告さえも検閲対象に…”女性の健康”に関する情報が規制されることによる影響
広告ポリシーが変更されるも残る課題
CIJの調査結果が発表され、<The New York Times>などが記事で取り上げた後、メタは2022年秋に広告ポリシーを変更。18歳以上のユーザーに対して、性に関する健康、ウェルネス、リプロダクティブ関連製品およびサービスを宣伝する広告の掲載を許可している。 しかし2023年7月、広告ポリシーが変更されたにもかかわらず、「女性や多様なジェンダーの人々に対するセクシャルヘルス製品やサービスを差別的に扱い、その結果広告を拒否をされ、さらにはプラットフォームから追放された」とCIJはメタを提訴していたことを発表。 実際に、いくつかの企業が広告を却下されていることが報告されており、新しい広告ポリシーが必ずしも現実的でないと指摘している。 またセクシャルヘルス企業の「Awkward Essentials」は、果物などで身体のシルエットや女性器を表現し、女性の健康広告に対するアルゴリズムのバイアスを回避することに成功しており、同社はこのような問題に直面している企業に向けて、いくつかの広告の回避策をInstagramのリールで共有している。
企業だけでなく消費者側にも影響が
女性の健康に関する広告やコンテンツを検閲しているのはメタだけではなく、リンクトイン、アマゾン、またドラッグストアなどでも起きているとのこと。 SNSやショッピングサイト、ドラッグストアで広告や製品を目にすることで、売上や収益につながるものの、それらが拒否されれば女性や多様なジェンダーの人々の健康について取り扱う企業が、事業を存続できなくなってしまう可能性も。 またこの検閲により影響を受けるのは、企業だけではないという。 ユネスコが行った調査によると、調査対象となった若者の29%がリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)やセクシュアル・ヘルスに関する情報にアクセスする最も一般的な方法としてインターネットを挙げている。 言葉を置き換えて検閲を回避することはできるものの、消費者側の理解を妨げてしまう可能性もあると指摘。しかし、誰もが理解しやすい画像や言葉を広告で使用すると拒否されてしまうため、正しい教育や情報を必要としている人に届かず、八方塞がりであるという状況に置かれている。