「更年期障害」の広告さえも検閲対象に…”女性の健康”に関する情報が規制されることによる影響
過度な検閲がもたらす影響
フォルケント氏は、ブランドセーフティ(広告が適切なWebサイトで表示されていること)に込められた意図は理解できるものの、それによって“重要な会話”を阻害しかねないと問題を提起している。そしてこのような過度な検閲によって、さまざまな影響を及ぼすと述べている。 同メディアのようにフェムテック関連の分野で事業を展開する出版社やプラットフォームは、広告収入に頼らざるおえないため、ネットワーク広告へのアクセスを拒否されてしまうと財政的に打撃を受け、これらのコンテンツ制作が減ったり、最悪の場合はサイトを閉鎖する可能性も。 さらに、フェムテックやセクシュアル・ウェルネスのコンテンツが収益化される場や方法に制限を設けることで、本質的な会話が消えてしまう危険性があり、“社会の進歩を促して差別や偏見を払拭し、幅広い層の人々を教育する可能性のある議論”が抑圧されてしまうと指摘。 そして、「女性の健康に関するトピックを遠ざけ、“ブランドセーフティではない”とラベリングをすることで、これらのテーマを取り巻く古くからの差別や偏見をいつまでも消し去れない」と綴っている。
女性の健康に関する広告は未だ検閲されている
2023年7月、<Forbes>は「女性の健康を取り扱う企業は、SNSから地下鉄の駅に至るまで、広告において苦しい闘いを強いられている」と報道。 非営利の社会変革団体である「インティマシー・ジャスティスセンター(CIJ)」は、2022年1月に発表された報告書のなかで、女性や多様なジェンダーの人々のためのヘルスケアに焦点を当てた60の企業が、メタ(旧フェイスブック社)に広告掲載を拒否されていたことを明らかに。 問題となったのは、搾乳機、子宮内膜症、更年期障害、性的同意、セクシュアル・プレジャー(性行為やセルフプレジャーで得られる性的快感)など、さまざまな健康状態や問題に対する教育や製品、サービスを取り上げる広告だったとのこと。さらには、「膣」「膣の健康」「更年期障害」「産婦人科」などの単語を含む広告でさえも、“アダルトコンテンツ”または“性的快楽”を宣伝するものであるとして却下されたという。 しかし、コンドームや勃起不全(ED)、さらには早漏の広告は承認され、掲載が許可されているという事実も。これらの広告は、“性的快楽”ではなく“家族計画”に焦点を当てているという理由から、当時のメタ社の広告方針に合致していたとのこと。 その結果、男性や男性器をもつ人に必要な健康に関するニーズへ取り組むのは「家族のためになる」が、女性の場合は単に「本人の喜びのためである」という“ダブルスタンダード(二重基準)”が生まれた。