「タイブレークは嫌い」な星稜の監督 足技を仕掛け決勝点 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第4日の22日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、2年ぶり15回目出場で2019年夏の甲子園で準優勝した星稜(石川)が、延長戦の末に、前回大会4強の天理(奈良)を5―4で破った。 【過去には小芝風花さんも】歴代センバツ応援イメージキャラ 1点への執念が勝利を呼び寄せた。延長十一回、2死一、三塁。9番打者・武内が2球目を空振りしたのを見ると、星稜の林監督は「武内のバットに期待するよりも、走塁でかき回そう」と仕掛けた。 一塁走者の佐々木が相手守備を誘うようにあえて飛び出し、けん制で挟まれる。その隙(すき)に本塁をうかがった三塁走者・津沢の動きを警戒していた一塁手が投げた球は、三塁手の頭上を大きく越える悪送球に。2人が生還し、決勝点となった。 「俺はタイブレークは嫌いだからな」。3―3で延長十一回に入る直前の円陣で、林監督は笑いながら選手たちに声をかけた。2018年の夏、先攻だった星稜は済美(愛媛)にタイブレークの末、逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びた苦い記憶がある。この日も先攻とあり、林監督は「延長十二回までに決めなければいけない」と攻めに出た。 1死から6番に代打を送り、起用に応えた松田が二塁打、続く津沢の右前打で1死一、三塁に。直後のスクイズは失敗したが、さらに動いたのが勝負を分けた走塁だ。 相手に「重盗」の思惑は見破られていたものの、揺さぶり続けたことでミスを誘った。悪送球を見て一塁から一気に本塁まで突っ込んだ佐々木は「絶対に点を取ってやるという気持ちで走った」と喜んだ。 3月限りで退任する林監督が指揮を執る最後の大会だ。主将を務める佐々木は「監督と試合ができるのはこの大会が最後。一試合でも長くやりたいし、成長した姿を見せたい」。次戦も必死に1点をもぎ取りにいく。【円谷美晶】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。