川田利明「“お客様は神様”世代は何やってもいいだろうって」 苦労ばかりのラーメン店を14年間続けられた理由
■プロレスと飲食店“お客さんとの距離”に違い
――お客さんのエピソードとして、言われて悲しかった、つらかったことはありましたか。 つらかったことはありすぎて話ができないぐらい、つらいことばっかりです。 “お客様は神様”世代に育った人たちって、何をやってもいいだろうみたいなところがあって。自分で辛いやつを頼んでおいて、半分ぐらい食べてから、「やっぱりこれ辛いから普通のラーメン出して」って。普通では考えられないようなことが起きるんですよ。 飲み物も「焼酎ダブルにして」って。ダブルにしてって言ったらダブルの料金じゃないですか。「焼酎ダブルにしてって言ったらダブル料金取られた」って。そういう理不尽なお客さんが毎日のように数え切れないぐらい来てたんで。さっきも言ったけど、厨房の中まで入ってきて話し出す人もいるぐらいなので、それってたぶん普通の飲食店じゃあり得ない。今はそういうのは少なくなったとはいえ、毎日のように一個や二個あるので。 お客さんとの距離が、“リングとお客さん”、“飲食店とお客さん”との距離だと、こっちの方が相当近いんで。仮にリングとリングサイドの人でも、実際の近さじゃなくて、やっぱりそこにはなにか壁はあったはずで。ここはお客さんの方から壁を取り外ししちゃう世界であるのかなって。
■ラーメン店を続けてこられた理由
――これまで失敗や、つらいことがたくさんある中で、川田さんがお店を続けてこられた理由を教えてください。 少ないお客さんでも来てくれて、毎回来てくれるお客さんとかがいて励みになるようなことがあれば、ちょっと続けようかなって。 最近になって、昔の動画を見て、それでお客さんとして来てくれる、俺のことを知らないでしょうっていう10代の子とかが来てくれて。この間なんて、13歳の女の子が、たぶんお父さんが見ている映像を見て好きになってくれたのか、来て感動してくれて。13歳の子に俺、感動してもらえるなんていうのは夢にも思ったことなくて。ちょっとびっくりしたのと、すごく自分の中で“こんなこともあるんだったら、ちょっとはやっててよかったかな”なんてすごく励みになりました。