フットサル初観戦の筆者が一発で覚えた「三宅悠斗」。競技転向1年目の20歳が攻守に魅了し続けた“積極性”という本質|Fリーグ
初観戦でもわかる三宅の潜在能力
先述のとおり、筆者はこの試合がFリーグ初観戦であった(初観戦でありながら、メディアとして取材する機会をもらった)。 そんな自分が明確に感じたのは、三宅自身も「自分の持ち味」と語っていた“積極性”だ。 そのことは数字にも表れている。 三宅は、第1ピリオドでチームが記録したシュートのうち、約3分の1の6本を放った。これはチーム最多であり、前線のキーマンとしてフィニッシュまでやり切る姿勢を示した。 第2ピリオドは相手が長時間にわたってパワープレーを仕掛けてきたため三宅のシュート数は2本だったものの、その代わりに激しいプレスで守備の起点となっていた。 特に筆者は、2つのプレーに魅了された。 第2ピリオドの開始わずか15秒、自陣深くから野村啓介が浮き球のパスを出すと、相手陣内に入ったところで受けた三宅は、すぐさま反転して前に仕掛けた。左サイドからカットインで切り込もうとしたところで後方から戻ってきた相手に倒され、ファウルをもらった。おそらく、立ち上がりから一気にフィニッシュへ持ち込むイメージの仕掛けだったはずだ。 さらに、残り41秒の場面だ。パワープレー中の仙台のフィクソの位置にいた森村孝志に対し、三宅が猛プレスを仕掛けた。奪ったボールを雲切啓太が拾って仕掛けようとしたところで倒され、ファウルの判定に。これは、ゴールがガラ空きの状態の決定機阻止となり一発退場。三宅の激しいプレスをきっかけに、町田が大きなチャンスを手にした場面だった。 試合展開に関わらず、三宅は攻守両面で積極性を示した。 フットサル初観戦の筆者にとって、攻守が激しく入れ替わり、選手も頻繁に交代するなかで、起きている事象や選手を把握する作業は困難を極めた。それにもかかわらず、三宅のことはすぐに判別できた。それほど、彼のプレーが際立っていたのだ。 「見る者を惹きつける」ということにおいて、三宅の姿は本質的だった。誰よりもひたむきで、ゴールや目の前の守備に貪欲な姿勢は、観客を魅了するものだと感じた。 三宅は今シーズン、リーグ開幕前のオーシャンカップで3試合4得点とブレイクの兆しを見せたものの、リーグ戦では第19節を終えて3得点と、きっかけをつかみ切れていない。 しかし、この試合で見せた彼の積極性は、フットサル初観戦の筆者でも確信したくなるほどにポテンシャルを感じている。昨シーズン、あと一歩のところで悲願のリーグ優勝を逃した町田は、もう一度、優勝争いをするために今、正念場を迎えている。 そんな時だからこそ、三宅の力がチームの原動力となるはずだ。