「12歳ではじめてのオーバードーズ」「家庭用洗剤を飲んで自殺未遂」…仕事のプレッシャーから酒と薬におぼれた25歳女性が、精神科病棟に隔離されるまで
精神科病棟に隔離、社会復帰するまで #1
重度のうつ病、摂食障害、アルコール依存症、ADHD……。谷口麗さん(仮名・女性)は、25歳ながらこれまでさまざまな精神疾患に振り回され続けてきた。一時は自殺未遂をして、精神科の閉鎖病棟に隔離されたものの、現在は克服してうまく折り合いをつけている。波瀾万丈な人生を送ってきた麗さんに、自身の半生を振り返りつつ、アルコールや薬物依存の恐ろしさを聞いた。 【画像】複数の処方薬をちゃんぽんして、オーバードーズ
最初にオーバードーズしたのは12歳
「ADHDのインチュニブ、安定剤のクエチアピン、睡眠薬のニトラゼパム……」 耳慣れない処方薬の名称を羅列しながら、谷口麗さんは、いくつもの薬をテーブルの上に広げていく。現在も、6~8種類ほどの向精神薬を服用している麗さんだが、これでも「かなりマシになったほう」だという。 「一時期は、半月分の睡眠薬を過剰摂取して丸2日眠ったり、ADHDの処方薬を飲みすぎて4日間動けなかったり……。もうあんな散々な思いはしたくないですね」 今だからこそ笑いながら話す麗さんだが、かつては常習的にオーバードーズ(以下、OD)に耽っていた。 なぜ麗さんは薬物依存に陥ってしまったのか。さかのぼって、まずODするようになったきっかけを聞いた。 「私が最初にODしたのは、12歳のときでした。当時は、摂食障害を患っていて、強迫性障害や気分性障害を抑える薬として、安定剤を処方されていたんです。 担当医は毎回1ヶ月分ぐらい出してくれていたので、飲み忘れる日があったり、副作用がきつい日は飲まなかったりとかで、薬が余るようになるんですね。それで服用量の3~4倍ぐらい飲んだらどうなるんだろうとある日ふと思い、つい好奇心で……」 当時は、まだSNSが浸透していなかったものの、麗さんは「2ちゃんねる」などを見て、ODの存在を知っていたという。処方薬を過剰摂取することで、「多幸感を味わえる」、「気分がハイになる」という文句に誘われ、現実逃避の一環として手を出すようになる。 「最初は軽い気持ちで始めたODですが、そのうち深く眠れることに気づき、どんどんハマっていきました。強迫性障害を患っているからか、年中不眠にも悩まされていたのですが、眠りにつくまでの記憶もないほどぐっすり眠れるので、ちょうどよかったんです」
【関連記事】
- 「宝くじ2億円当選」するも、食べ歩きに全つっこみ! 1日10軒以上、5年間で全額使い切った若者が20年後にたどり着いた、美味しさの先にある“究極の料理”
- 21歳で精神科病棟に隔離、退院後はマッチングアプリで男の家に連泊… オーバードーズとアルコール依存に苦しんだ女性が、社会復帰して思うこと
- 「1日で3000万円溶かす」「闇金返済に追われて自殺」 高校生にまで被害が及ぶオンラインカジノと低年齢化するギャンブル依存症。追い込まれた彼らが手を染めるのは…
- 〈パキって痙攣してもラムネ感覚〉「トー横キッズの8割はしてるんじゃない?」「10シート(100錠)いったら意識ぶっ飛んだ」まん延する咳止め薬オーバードーズの恐怖〈無許可販売で逮捕〉
- いじめ、オムツしてひきこもり、発達障害…自称「生きづらさ5冠王」の43歳男性が、給料泥棒と罵られ30回以上の転職を繰り返しても働きたい理由