【なぜ?】駅のホームで線路に背を向けて設置されたベンチ 「90度なら知ってるけど……」
ある日、『バズろぅ!』調査隊から寄せられた、「駅のホームに線路側と反対を向いているベンチがあるのですが、なんでですか?」というメッセージ。早速現場に向かってみました。 【写真】一体なぜ? 線路に背を向けて設置されたベンチたち JR宝殿駅のホームに行くと、確かに、線路に背を向ける形で設置されたベンチがありました。座ってみると、線路に背を向けているからかホームにいる感じがしません。目の前には大きなクスノキがあり、さらにはポカポカと太陽の日差しがあたることから、まるで公園のベンチに座っているかのようなのどかさ。 ベンチに座ってみた結果、「景色や雰囲気を味わってもらうためのちょっとしたサービス心から、この向きに設置したんとちゃうの?」と思ったりもしましたが……。 皆さんもご存知の通り、最近のホームのベンチは、線路に対して垂直、つまり線路側を向いていた従来よりも90度角度を変えて設置されています。 これは、線路側を向いたベンチに座っていた酔っ払いの人が、立ち上がってそのまま前に向かってフラフラと進み線路に落ちてしまう事例があったため、転落事故防止を目的に設置された角度です。 しかし、JR宝殿駅のベンチはさらに90度回転した、線路を背にした設置位置。一体なぜなのか? 駅員さんに尋ねてみました。 駅員さんによると、“ホームの広さ”が関係しているんですって。なんでも、線路に対して垂直にベンチを設置するにはある程度の広さが必要になるのだそう。 しかし、それほど広くない宝殿駅のこのホームでは垂直位置での設置が難しかったため、線路に背を向けることで転落防止にしているといいます。 ホームの広さは、駅によってさまざま。そのため、「兵庫県内のほかの駅にも、JR宝殿駅と同じように線路とは反対向きにベンチを設置している場所はありますよ」と教えてくださいました。 なるほど。線路に対して垂直にベンチを設置しようとすると、ホームが狭くなってしまう。人が乗り降りするホームが狭くなってしまったら、それこそ安全性に問題が出てしまいますもんね。 この問題に直面したとき、「じゃあどないもできひんやん!」となるのではなく、さらに90度回転させることでホームのスペースを広げるための大がかりな工事をすることなく、安全性を高めることに成功したってわけです。 これ、すごないですか? 従来の設置角度から変更しながらも、ちゃんと目的を達成したってことですよね。 自分の考えやアイデアをそのまま試みるのもええけど、ちょっと角度を変えて、なんやったらさらに角度を変えてみればより良いものに変化するかもしれない……と。 そんなことを、ホームのベンチに座りながら考えていました。 そして180度振り返り、電車に乗って帰りました。 ※ラジオ関西『バズろぅ!』2024年1月31日放送回より (『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)
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