【大好きなおばあちゃんが、記憶をなくしてしまったら?】料理家ウー・ウェンさんに聞く「中国のおばあちゃんと孫のきずなと愛情」<中国翻訳絵本『トウモロコシの おもいで』>
お母さんが働いている間、おばあちゃんが孫を育てる
――ウー・ウェンさんは中国の北京育ちだそうですね。中国のおばあちゃんと孫は、どのように過ごされるのですか。ウーさんのご家庭はどうでしたか。 ウー・ウェンさん(以後、ウーさん):中国の子どもたちは、大家族の中で育つのが一般的です。日本語の「おじいちゃん、おばあちゃん」には父方、母方の区別はないようですけれど、中国では父方と母方をはっきり分けます。父方のおじいちゃんは、爺爺(イエイエ)、おばあちゃんは奶奶(ナイナイ)。母方のおじいちゃんは老爺(ラオイエ)で、おばあちゃんは姥姥(ラオラオ)といいます。この4人のうちで、孫にとっていちばん居心地がいいのは母のおかあさんである姥姥(ラオラオ)でしょうか。 中国では、女性も働くのが普通ですから、家族の力を借りて子育てをします。母親が働いている間、小さな子どもたちは祖父母のお世話になるのが一般的。3歳で幼稚園に入るまでは、おもにおばあちゃんが面倒をみるんです。だから、孫とおばあちゃんはとても強い結びつきがあります。 私も、この例にたがわずおばあちゃん子でした。私の子どもたちもおばあちゃんが大好き。私が子どもたちを連れて北京の祖父母のうちを訪ねると、おばあちゃんは子どもたちにいろいろな食べ物を食べさせてくれて、目に入れても痛くないほどのかわいがりようです。かわいいところしか見ていないから、純粋な愛情を注いでくれるんですね。孫たちは今でも「おばあちゃんとおじいちゃんがいちばん好き」と言いますよ。 ―― 子どもは愛されるために生まれてきたのだから、かわいいところを見てあげればいいですよね。『トウモロコシの おもいで』の中で、好きなシーンはどこでしょう? ウーさん:トウモロコシって背丈が高いんです。トウモロコシ畑の中でおばあちゃんを見失ってしまい、「おばあちゃん、どこにいるの?」と「わたし」がトウモロコシを握りしめながら探しているページが好きです。おばあちゃんは絶対「わたし」を置いて行ったりはしないのに、おばあちゃんの姿が見えなくて「わたし」は不安でいっぱいになる……。 ――「どこなの?」って……。 ウーさん:そうです。私ももし孫だったら、おばあちゃんの姿が見えなくなったら悲しくなっちゃうと思います。