道民が愛する「セイコーマート」凄い物流の仕組み、脅威の積載効率8割はなぜ達成できるのか
積載効率8割を維持するためには、配送の無駄がないようにしなければならない。そこで、同社では1日数回配送する店舗と、1回しか配送しない店舗を地域によって分けている。また、店舗側もストックを多めに持てるように店舗面積を200平米、60坪規模を標準として、各店舗で広めのバックヤードを構えている。 配送の仕方にも工夫がある。例えば、札幌物流センターから稚内物流センターにモノを運んでそのまま戻ってきたら積載効率は5割になってしまうが、セイコーマートの場合、そのまま牛乳工場に行って牛乳を積み、別の物流センターへ運ぶ。さらに次に北見の野菜加工工場でカット野菜や漬物を積んで帰ってくる。この流れだと、ずっと積載効率8割を維持できるわけだ。
■地域密着だからこそ築けたサプライチェーン 牛乳工場や野菜工場は経営上の理由から買い取ったものだ。このほかに海産物の加工工場など、自社で食品工場を23工場持っている。ここで弁当や総菜や具材を加工しているほか、他社に卸すものも製造しているわけだ。各工場を原料産地のそばに置くことによって新鮮な原料を使った商品の製造をし、スーパーに勝てる価格・鮮度で勝負したいと挑んでいる。 このように、セイコーマートは原料の調達から販売まで、サプライチェーンをすべて飲み込んでやっている。例えば経営難の工場を買収したり、過疎地域に出店したりだけでなく、価格や商品展開などトータルで地域密着を徹底しているからこそ築き上げられたものだ。同社自身、物流企業であるという自覚を持っている。小売業にとってはいかに物流を抱え込むかが今後の事業展開の肝になってくるだろう。
角井 亮一 :イー・ロジット代表取締役兼チーフコンサルタント